「仕事にやりがいを感じながらも、残業を減らしてプライベートも充実させたい」と考える人は少なくありません。特に近年は、働き方改革やリモートワークの普及により、効率的に働くことが求められるようになっています。しかし、実際には「仕
事のやりがいを求めると、どうしても労働時間が長くなる」「ワークライフバランスを優先すると、やりがいが感じられなくなる」と悩む方も多いことでしょう。
では、やりがいを損なわずにワークライフバランスを維持することは本当に可能なのでしょうか？ 本記事では具体的な方法や考え方を解説します。
やりがいとは何か？ワークライフバランスとの関係
「やりがい」とは何かをあらためて考えてみると、その定義は人によって異なります。一般的に、以下のような要素が「やりがい」と言われることが多いです。
- 成果を出して評価されること（目標を達成し、上司や同僚から認められる）
- スキルアップや成長を実感できること（新しい知識を学び、仕事の幅が広がる）
- 社会に貢献していると感じられること（自分の仕事が誰かの役に立っている）
- 仕事を通じて人とのつながりを得られること（チームワークを活かし、協力して成果を出す）
一方で、ワークライフバランスは、仕事とプライベートの調和が取れている状態を指します。これは単に労働時間を短くすることだけを意味するのではなく、限られた時間の中で効率よく働き、仕事の充実感と私生活の充実を両立させることが本質です。
つまり、「やりがい＝長時間労働」ではないのです。短時間であっても仕事の質を高め、効率よく働くことでやりがいを感じることは十分に可能です。
むしろ、ワークライフバランスが取れているほうが心身ともに健康で、仕事のパフォーマンスが向上し、結果的にやりがいを感じやすくなるという側面もあります。
仕事のやりがいを維持しつつワークライフバランスを取る方法
やりがいとワークライフバランスを両立させるためには、単に働く時間を短縮するのではなく、仕事の質を向上させ、効率よく働くことが求められます。ここでは、具体的にどのような方法が有効なのかを紹介します。
業務の効率化（ムダを省く）
やりがいを維持しながらワークライフバランスを取るためには、業務の効率化が不可欠です。限られた時間の中で最大限の成果を出すことが求められます。業務効率化の具体的な方法には以下のようなものがあります。
優先順位をつける
限られた時間内で最大の成果を出すには、タスクに優先順位をつけることが重要です。人はついつい目の前にある仕事から取りかかってしまいますが、優先順位の高いものから取り組む必要があります。
なぜなら重要度の高い業務は、結果として自分の目標達成に大きく貢献するため、優先的に処理することで、より大きな成果を上げることができるからです。逆に、重要度が低い業務に時間を取られると、成果が薄くなるだけでなく、時間的なリソースを無駄にしてしまう可能性があります。
優先順位を決める際におすすめなのは「重要度×緊急度のマトリクス」を活用する方法です。以下の記事をあわせてご覧ください。
「やらなくていい仕事」を見極める
限られた時間内で効率よく業務を進めるためには、「本当に必要な仕事」と「削減できる仕事」を明確に区別することも欠かせません。多くの職場では、不要な会議や非効率なルーチン業務が積み重なり、実際にはやらなくてもよい仕事に時間を費やしています。このような業務を見極め、積極的に削減することが、ワークライフバランスを整える第一歩です。
まず、自分の業務を振り返り、「本当に必要か？」と問いかけてみましょう。毎回同じように繰り返している作業や、成果にほとんど貢献しない業務があれば、それは見直しや削減の対象となるはずです。
たとえば定期的な報告書作成やデータ入力などの業務は、ツールやテンプレートを使って簡素化できることがあります。また、頻繁なメールチェックや無駄な資料作成など、業務に直接影響を与えない作業に時間を使うことを避けましょう。
ツールを活用する
業務効率を上げるために、便利なツールを活用するのも有効です。
たとえば、タスク管理アプリを使って、日々の業務やスケジュールを整理すれば、優先順位を明確にでき、無駄な時間を減らせます。また、定型業務を簡単に処理するために、ショートカットキーやマクロを活用するのも効果的です。ほかにはメールの自動振り分け機能を設定することで、重要な情報を見逃さずに済み、対応漏れを防げます。
時間管理を意識する
時間の使い方を見直すことで、業務の質を維持しながら短時間で成果を出すことが可能です。
定時で終わらせる前提で仕事を進める
残業が当たり前になっている人は、残業することを前提に働いています。しかし会社の就業規則で就業時間が定められている以上、本来は残業しないことが前提のはずです。このことを忘れてしまっている人が多くいます。
人は時間が限られているほうが、集中力が高まり生産性が向上する傾向があります。
「締め切り効果」と呼ばれる心理的効果のことです。
この効果を使って計画的に仕事を進めることで、効率よく業務をこなすことが可能です。
たとえば、ポモドーロテクニック（25分集中＋5分休憩）などの時間管理術を活用すれば、適度にリフレッシュしながら高い集中力を維持できます。
スケジュールに余白を設ける
予定を詰め込みすぎると、突発的な業務に対応できません。精神的な余裕も失われ、結果的にパフォーマンスが低下することもあります。そのため、あえてスケジュールにバッファ時間（余白）を設けることで、柔軟に動ける環境を整えましょう。
具体的には、1日のスケジュールに30分～1時間のフリータイムを確保しておくと、急な依頼やトラブルにも慌てずに対応できます。また、タスクの締め切りを実際の期限よりも前倒しで設定することで、余裕をもった進行が可能です。
集中力が高まる時間帯に重要な仕事をする
仕事の効率を最大化するためには、日中の最も生産性が高い時間帯を意識的に活用し、重要な業務を優先的に進めることも効果的です。
一般的には朝の時間帯が最も頭が冴えており、集中力も高いと感じるとされています。
午前中はゴールデンタイムと呼ばれます。
もっとも、ゴールデンタイムは人それぞれ異なります。そのため、自分の最も集中できる時間帯を特定し、その時間帯に重要な業務を集中して処理することが、ワークライフバランスを保つうえでも大切です。
キャリアの方向性を見直す
やりがいとワークライフバランスを両立するには、そもそも自分の働き方が適しているかどうかを考えることも重要です。
自分に合った環境を選ぶ
自分がやりがいを感じながらも、無理なく働ける環境を選ぶことは、長期的にキャリアを充実させるうえで非常に重要です。どれだけ仕事が好きでも、過度な長時間労働や過剰な業務負担が続けば、心身の負担が大きくなり、最終的にはパフォーマンスの低下やモチベーションの喪失につながることがあります。
まず、自分にとって「理想の働き方」を具体的にイメージすることが大切です。たとえば以下のように自分にとって重要なポイントを整理しましょう。
- 残業は月○時間以内が理想
- リモートワークやフレックス制度がある職場がよい
- 裁量権をもって仕事ができる環境が望ましい など
そのうえで、現在の職場の企業文化や業務内容と照らし合わせ、自分に合った環境かどうかを見極めることが必要です。
もし現在の職場でバランスが取れない場合は、働き方を調整するために上司と相談する、業務の進め方を工夫するなどの方法を試すのも有効です。それでも改善が難しい場合は、転職を視野に入れるのもひとつの選択肢です。
仕事の目的を明確にする
「何のために働くのか？」という問いに明確な答えをもつことは、モチベーションを維持し、充実感を得ながら働くために欠かせません。やりがいや目的が不明確だと、日々の業務が単なる作業になり、仕事に対する満足度が低下しやすくなります。
まず、自分が仕事を通じて得たいものを整理しましょう。「成長したい」「社会に貢献したい」「専門スキルを高めたい」「経済的な安定を得たい」など、人によって価値観は異なります。これらを定期的に見直すことで、今の働き方が自分の目指すキャリアに合っているかを確認できます。
また、目の前の仕事の意味を意識することも重要です。たとえば、「この業務がチームや会社にどんな影響を与えるのか？」と考えることで、日々の業務がより意義のあるものに感じられます。
さらに、キャリアの長期的なビジョンをもち、それに向けて計画的にスキルを磨くことも大切です。やりがいを持続させることができます。
副業やフリーランスという働き方も選択肢
裁量権をもって働くことで、自分に合った働き方を実現し、やりがいとワークライフバランスを両立できる可能性があります。特に、副業やフリーランスという働き方は、自分のペースで仕事を進められるため、やりがいを感じながらも生活とのバランスを取りやすいメリットがあります。
副業を始めることで、本業では得られないスキルや経験を積むことができ、キャリアの幅を広げることができます。たとえばプログラミングやコンサルティングなどの副業を行うことで、自分の専門性を高めたり、新たな分野へ挑戦したりする機会が得られます。副業で得た収入が生活の安定につながることで、精神的な余裕をもって本業にも取り組めるようになります。
一方で、フリーランスという選択肢もあります。フリーランスは自分で案件を選び、働く時間や場所を自由に決めることができるため、ワークライフバランスを調整しやすい点が魅力です。
副業やフリーランスを選択する際は、自分のライフスタイルやキャリアプランに合っているかを慎重に検討することが大切です。まずは小規模な副業から始めて、自分に合っているかを確認しながら、本業とのバランスを調整するとよいでしょう。
まとめ
やりがいを維持しつつワークライフバランスを取るためには、以下の3つのポイントが重要です。
- 業務の効率化（ムダを省き、成果を最大化する）
- 時間管理（限られた時間で高いパフォーマンスを発揮する）
- キャリアの方向性の見直し（働く環境を選び直す）
「長時間働かないとやりがいは得られない」という考え方を見直し、自分に合ったワークスタイルを見つけることが大切です。 やりがいを感じながら、プライベートも充実させる働き方を実現しましょう。
