近年、社会人の間で「リスキリング」(再スキル習得)が注目を集めています。時代の変化に対応し続けるためには、新しい知識やスキルを効率よく身につけることが不可欠です。
しかし、仕事や家庭の用事で忙しい社会人が、まとまった勉強時間を確保するのは簡単ではありません。
そこで本記事では、忙しい社会人でも無理なく勉強時間を作り、スキルアップを継続するためのコツをわかりやすく解説します。
会社員時代に社会保険労務士や簿記など多数の資格を取得した筆者の経験にもとづいているため、リスキリングを目指す方や、資格取得・自己成長に取り組みたい方に役立つ内容です。ぜひ参考にして、自分のペースで着実に学びを進めていきましょう。

この記事はこんな方におすすめです。
- 忙しくて勉強時間が確保できない方
- 資格取得やスキルアップを目指している方
- 勉強してもなかなか続けられないと悩んでいる方
- 仕事と両立しながら自己成長したい方
忙しい社会人が勉強時間を確保できない理由
社会人になると、仕事や家庭、プライベートの予定で一日が埋まりがちです。
特にフルタイム勤務や残業が多い仕事に就いている人にとっては、「勉強する時間なんてない」と感じてしまうのも無理はありません。
家事や育児を担っている人の場合は、帰宅後もなかなか自分の時間を確保できず、疲れてしまうことも多いでしょう。
「勉強は急務ではない」という心理も働きます。納期のある業務と違い、勉強は今すぐやらなくても困らないものが多いため、つい後回しにしてしまうのです。
結果として「やらなきゃ」と思いながらも行動に移せず、日々が過ぎていく……。これが多くの社会人にとっての現実です。
では、どうすればこの状況を変えられるのでしょうか?
忙しい社会人が勉強時間を作る3つのコツ
仕事や家庭の用事に追われる毎日の中で、まとまった勉強時間を確保するのは簡単ではありません。しかし、ちょっとした工夫や意識の持ち方を変えるだけで、日々の生活の中に学びの時間を生み出すことができます。
ここでは、忙しい社会人でも無理なく実践できる「勉強時間を作る3つのコツ」を解説します。
スキマ時間を「勉強専用」にする
通勤時間や昼休み、ちょっとした待ち時間など、日常には意外とスキマ時間が存在します。
これらの時間を意識的に活用するだけでも、1日に30分〜1時間程度は捻出できます。
ほんのちょっとの空き時間にスマホをいじってゲームなどで時間をつぶそうとするのではなく、「迷わず」「すかさず」、勉強をしましょう。
- 通勤電車の中で参考書を読む
- 移動中はオーディオブックや学習用動画を視聴する
- 病院や歯医者の待ち時間は単語帳を開く
- 煮込み料理を作っている間は台所で勉強する
- 仕事の昼休みは問題を解く など
このように、ありとあらゆるスキマ時間を勉強に充てると、1日トータルではそれなりの時間になります。
小さな積み重ねが大きな成果につながります。「まとまった時間がないから勉強できない」と思い込まず、細切れの時間でも十分に活用できることを意識しましょう。

わたしも資格の勉強中、スキマ時間ができたらすかさず持ち運び用のテキストやノートを開いて勉強していました。今でも、スキマ時間には英語や漢字のアプリを開いて学びに使っています。
「やる時間」を決めて習慣化する
特に難関資格のように、勉強の質だけでなく「量」も必要な勉強に取り組む場合、スキマ時間だけではどうしても足りません。
たとえば「朝起きてから1時間」「寝る前の30分」といったように、具体的な時間帯を固定しましょう。決まった時間に取り組むことで、勉強が生活の一部となり、続けやすくなります。
また、毎日のスケジュールの中で「勉強」を予定として入れるのも有効です。予定として組み込むことで、「やるかやらないか」で迷う時間が減り、自然と行動に移しやすくなります。
まずは短時間でもいいので、習慣化を目指しましょう。

わたしも、朝起きて歯磨きなどごく簡単なルーティンをした後は、とにかく机に向かう習慣を徹底していました。まだ家族も寝ている静かな朝の時間に1時間~1時間半くらいは勉強できていたと思います。
行動の優先順位を見直す
たとえば、毎日ダラダラと見てしまうSNSやテレビの時間を削るだけでも、勉強に充てられる時間は確保できます。
また、休日に予定を詰め込みすぎている場合は、勉強のための時間を意識的に確保するのも大切です。社会人の場合、休日をどう使うのかでかなり差がでます。
本当に習得したい資格やスキルがあるなら、受験中だけでも休日は「勉強の日」と決めることを推奨します。単純な遊びは、やめるか減らすことも必要です。
しかし家族がいる方など、勉強だけやっているわけにいかない方も多いでしょう。その場合は、休日の午前中だけは図書館に行って集中すると決めるなど、メリハリをつけて勉強時間を確保することが大切です。
日々の生活の中での勉強の優先度を高めることで、集中して学習できる時間が生まれます。

時間の使い方を一度棚卸ししてみると、無駄にしている時間が見えてくるはずです。
忙しい社会人におすすめの勉強方法・学び方
まずおすすめしたいのが「耳で学ぶ」スタイルです。オーディオブックや学習用のポッドキャストを通勤時間や家事の合間に聞くことで、無理なく知識を吸収できます。
また、短時間で学べる学習アプリも有効です。資格取得を目指している場合は、過去問アプリや問題集をスマホに入れておくことで、いつでもどこでも手軽に学習できます。

特に英語や漢字の学習、ITスキル習得(プログラミングの基礎)などは、アプリ学習との相性が抜群です。
通学時間が不要なオンライン講座もおすすめです。通学には受験仲間ができる、直接講師に質問できるなどのメリットがありますが、決まった時間に受講しないといけないため、どうしてもできる人が限られます。
オンライン講座なら、自分の生活スタイルに合わせて、無理なく続けやすいです。
【よくある失敗】勉強が続かない人の特徴
せっかく勉強を始めても途中でやめてしまっては、スキルを習得できないし、「自分は続けられない人間だ」と感じて自信もなくなってしまいます。
勉強が続かない人には、以下のように共通する特徴があります。
- 目標が曖昧:何のために勉強しているのかがはっきりしておらず、途中でやる気を失いやすい。
- 完璧を目指しすぎる:最初から理想の学習計画やペースで進めようとするため、少しできないだけで挫折しがち。
- 短期間で成果を求めすぎる:勉強は長期戦なのに、すぐに結果が出ないと諦めてしまう。
- 学習方法が自分に合っていない:苦手な学習法に固執し、勉強そのものが苦痛になっている。毎日残業が多いのに夕方からの通学講座を選ぶなど、現実性のない方法を選んでいる。
これらの特徴に心当たりがある場合は注意が必要です。
せっかく始めた勉強を継続するためには?
勉強を始めたからには、途中で挫折せずに続けて成果を出したいものです。しかし、忙しい社会人にとっては継続こそが最大の課題です。
ここでは、勉強を続けるためのポイントを解説します。
学ぶ目的を明確にしてモチベーションを保つ
ゴールがはっきりしていればモチベーションを保ちやすく、やる気が下がったときにも自分を奮い立たせる材料になります。
たとえば「転職して収入を増やす」「資格取得でキャリアアップする」など、具体的な目標を掲げることで、日々の勉強に意味を見いだせます。
目標が長期的すぎると実感が湧きにくい場合は、「3ヶ月以内にこの参考書を終わらせる」「来月までに模試を受ける」といった中間目標を設定するのも効果的です。
こうした小さな達成感が積み重なり、モチベーション維持につながります。

目的がぼんやりしていると日々の忙しさに流されてしまうため、ぜひ明確にしておきましょう。
進捗状況の「見える化」でやる気を維持する
勉強の成果が見えにくいと、途中でモチベーションが下がりやすくなります。
たとえば、ノートに学習内容を書き出したり、チェックリストを作って終わった箇所に印をつけたりする方法があります。学習管理アプリを活用するのも便利です。
どれだけ進んだかが一目でわかると、「これだけ頑張ったんだ」という達成感が得られます。
自分の努力を可視化することで、途中で投げ出すリスクを減らし、学びを習慣にしやすくなります。
無理なく続ける仕組みを作る
無理なく続けるためには、日常生活の中に自然と組み込む「仕組み」を作るのが効果的です。
たとえば「移動時間は必ず英語の音声を聞く」「昼休みにスマホで資格講座の動画を1本見る」など、生活の中に学びをセットで組み込んでしまいます。
朝起きたら必ず5分だけ参考書を開く、といったミニマムなルールから始めるのもおすすめです。
学習アプリなどを使うと、やらない日が続くとアプリに通知が届くので、こうした仕組みも活用しましょう。

重要なのは、やる気に頼らず「仕組み」で自動的に勉強が続く状態をつくることです。
勉強を「習慣」にするためのコツは、以下の記事で詳しく書いています。
家族や周囲に協力してもらう
家族やパートナーがいる場合は、周囲の理解と協力を得ることも大切です。
特に家事や育児に追われている方は、自分だけで勉強時間を捻出するのは難しく、周囲の協力が欠かせません。
ポイントは、あらかじめ家族に「この時間帯だけは勉強に集中したい」と共有しておくことです。
自宅での勉強が難しいなら、図書館や社会人学校の自習室など、物理的に一人になれる場所を確保しましょう。
また、スキルや資格取得の目的を家族に伝え、「この勉強が将来どう役に立つのか」を話しておくことで理解も得やすくなります。
学習の進捗や成果を家族と共有することで応援してもらえる関係性が築けるでしょう。
もし一緒に勉強したい家族がいれば、家庭内で「勉強タイム」を作るのも効果的です。お子さんがいる方などは、「ママ(パパ)も勉強するから、一緒に勉強しよう」と誘ってみるのもよいですね。
パートナーがいる方は、図書館デートもおすすめです。
大事な人たちと一緒にいる時間を確保しつつ、学びを続けることは可能です。
まとめ
忙しい社会人が勉強時間を作るには、スキマ時間の徹底活用と習慣にする仕組み作り、行動の優先順位付けが欠かせません。時間を作ったあとは続けられる環境を整えることも大切です。継続できれば、必ず結果はついてきます。今回紹介したコツを実践して、無理なく学びを続けていきましょう。