毎日のように残業が続いていると、「とにかく時間が足りない」と感じてしまうことがあります。しかし、実際には時間が足りないのではなく、時間の使い方が見えていないだけというケースも少なくありません。
たとえば「気づいたら今日も定時を過ぎていた」「あの作業、本当に必要だった?」と振り返ってモヤモヤした経験はありませんか?
そこで残業削減チャレンジの【Week1】では、改善の第一歩として、自分がどこに・どれだけの時間を使っているのかを「見える化」します。
今週は、まずは現状を把握することに集中しましょう。あえて「変えよう」としなくて大丈夫です。肩の力を抜いて、気楽に始めてみてください。

【Week1】では「現状把握」(可視化)を行います。
チャレンジの概要は以下のとおりです。
- 目的:今の時間の使い方を「見える化」する
- 内容:行動ログを取り、「やらないことリスト」でムダを発見
STEP1:1日の行動ログを取ってみよう
目的
このステップの目的は、「自分が何にどれだけ時間を使っているのか」を客観的に把握することです。
普段の業務や日常の行動は、意外と無意識のうちに習慣化されており、自分では気づいていないムダや非効率が潜んでいることもあります。
まずは現状を見える化することで、改善すべきポイントが明確になり、定時退社に向けた第一歩を踏み出す土台ができます。
やり方
まずは、自分の1日の行動を15分〜30分単位で記録してみましょう。記録する媒体は、紙のメモでも、スマホのメモアプリでも、Googleスプレッドシートでも構いません。
記録する内容は次の2点です。
- 何をしていたか(行動)
- そのときどんな気持ちだったか(感情や状況)
記録の例
時間帯 | 行動内容 | メモ |
---|---|---|
9:00〜9:30 | メールチェック | 緊急はなかったけど、全部読んでしまった |
10:00〜10:30 | 会議 | 8割は他部署の話で、自分の仕事に関係なかった |
11:00〜11:30 | 資料作成 | 集中できたが、テンプレ探しに10分かかった |
13:00〜13:30 | 昼食+スマホ閲覧 | ご飯の後、SNSを20分くらい見てしまった |
14:00〜14:30 | 上司からの口頭依頼対応 | 締切が曖昧で何をどこまでやるべきかわからず、無駄に時間をかけた |
15:00〜15:30 | チャット返信 | 一つひとつは短いが、返していたら30分経っていた |
16:00〜16:30 | タスクの棚卸し | 頭の整理になってよかったが、予定よりも10分オーバーした |
17:00〜17:30 | 雑務(書類整理など) | やらなくても問題なさそうな書類も含まれていた |
このように 作業・会議・休憩・雑務など多様な場面を記録することで、自分の行動の偏りや「なんとなく過ぎてしまった時間」が可視化されます。
ポイント
行動ログをとる際のポイントは以下のとおりです。
- 正確さを求めすぎない:多少ざっくりでもOK。大切なのは習慣化です。
- 1日だけでもやってみる:気が重ければまずは1日から。始めてみることが重要です。
- 俯瞰して見ることを意識:全体の流れを見ることでムダや偏りに気づけます。
STEP2:「やらないことリスト」を作る
目的
「やらなくても困らないこと」に気づくことが、仕事を減らす最初のステップです。
ログをつけると、自分の行動の中に、当たり前だと思ってやっているけれど、本当はやらなくても問題のないことが含まれていることがわかります。
つまり、減らせる・手放せる仕事です。
このような仕事を可視化できれば、以下がはっきりしてきます。
- 自分の時間を奪っているものは何か
- どこを工夫すれば時間を生み出せるか

まずは「どの仕事を減らせるか」を知ることです。それが、無理なく働き方を改善するための出発点になります。
やらないことリストの作り方
まずは、STEP1で取った行動ログをじっくり見返してみましょう。その中で、次のように感じた行動に〇をつけてください。
- これはムダだったかもしれない
- 今日やらなくても大丈夫だった
- 他の人に任せられそうだ
そして、その中から特に削減や委任が可能なものを選びます。
選んだものは「やらないことリスト」もしくは「他の人に任せるリスト」としてまとめましょう。
例
行動内容 | 見直しの提案 |
---|---|
毎朝の定例メールチェック | → 前日のうちに済ませる、もしくは2日に1回の頻度に減らす |
上司からの気まぐれな依頼 | → 事前に優先順位を確認してもらい必要なものだけ対応する、テンプレート化して対応工数を減らす |
会議中のメモ取り | → 必要最低限にとどめ、会議後にまとめて内容を確認する |
ルーチン作業の進捗報告 | → 週1回の報告にまとめる、または報告フォーマットを簡略化する |
書類の印刷やスキャンなどの単純作業 | → 他の担当者に任せる、もしくは一部自動化ツールの導入を検討する |
すぐにすべてをやめる必要はありません。上記のように、まずは少しずつ減らしたり、他の人にお願いしたりすることで、仕事の負担を軽くしていきましょう。
ポイントは、「自分だけで抱え込まないこと」と、「完璧を求めずに柔軟に調整すること」です。
手放すのが怖いと感じるかもしれませんが、全部やらなくていいという視点を持つだけでも行動が変わります。
やらないことリストの作り方や重要性は以下の記事もチェックしてください。
まとめ:1週目で意識が変わる
「定時で帰れないのは仕方のないこと」と思っていた人も、1日の行動ログを取ることで、自分の時間の使い方に伸びしろがあると気づけるはずです。思っていたよりもムダな時間があったと驚くかもしれません。
でも、それこそが第1週の成果です。この1週間は、気づくことが目的です。完璧を目指す必要はありません。変えようとする前に、まずは「今」を知ることから始めましょう。
次回の【Week2】は、仕事の優先順位と手放せる業務を見直すワークです。