仕事を辞めるべきか悩んだときの対処法と選択肢【実体験】

残業しない

このまま今の仕事を続けていいのかな……。そんな思いが頭をよぎるとき、心のどこかで「変わりたい」と思っているのかもしれません。

わたしはフリーランスとして働きだして10年以上が経ちましたが、その前は会社員として約10年働いてきました。その中で転職も経験しており、「辞めたいけど辞められない」という葛藤もたくさんありました。

この記事では、「仕事を辞めたい」という気持ちにどう向き合うか、どう考え、どう行動すればいいのかについて、実体験をもとにお伝えします。

仕事を辞めたくなるとき、人はどんなことに悩んでいるのか?

仕事を辞めたい気持ちがふとよぎる瞬間は、多くの人に訪れます。しかし実際には、辞めるという選択肢を前に、迷いや不安で足が止まってしまうことも多いものです。ここでは、実際に多くの人が「辞めたい」と感じるときに直面している代表的な悩みや違和感について整理してみます。

体力的・精神的に限界を感じている

毎朝起きるのがつらい、日曜の夜が憂うつ、仕事のことを考えると頭が重くなる……。こんな状態が続いているなら、それはすでに心や身体が悲鳴をあげているサインかもしれません。「頑張らなきゃ」と自分に言い聞かせて無理を重ねても、心身のエネルギーが空っぽになれば、突然働けなくなってしまうリスクもあります。

会社や社会が求める「理想の働き手像」ではなく、自分自身の心と体が健やかでいられるペースを大切にすることが、長く働き続けるためにはとても大切です。

もし体調を崩す寸前なら、辞める辞めない以前に、一度立ち止まって自分を守る判断をしてもいいのです。

あんず
あんず

わたし自身、会社員時代に深夜労働が慢性化しており、週末は物理的にベッドから起き上がれない、血尿がでる、毎朝出社前には涙が止まらないという状態に陥りました。そのため、自分を守るために会社を辞めることにしました。

今の仕事に意味を見出せなくなった

「これって、誰の役に立ってるんだろう?」「がんばっても誰にも評価されない」などと感じ始めたとき、人は仕事のやりがいを見失いがちになります。

仕事をするのはお金のため、生活のためと割り切る人もいるかもしれませんが、何年、何十年もお金のためだけに仕事を続けるのはとても大変なことです。結局のところ、仕事はやりがいやモチベーションがあるからこそ、長く続けられるのです。

やりがいがなくなると、働くこと自体がただの作業に感じられ、モチベーションはみるみる下がっていきます。特に評価されづらい仕事や、成果と報酬が比例しない環境にいると、「自分がここで頑張る意味って何?」という気持ちが強くなり、離職の決断につながることもあります。

やりがいは、自分の価値観や働き方と合っていないと、どんなに安定した会社でも感じられません。「自分はどう働きたいのか?」「何を大事にしたいのか?」を見直すことが、次のステップへのヒントになります。

将来が見えない

「このまま続けても給料は上がらなそう」「スキルも身につかず、転職もできなさそう……」そんな風に感じたとき、人は出口を探し始めるものです。目の前の仕事に集中していても、ふと立ち止まったときに将来像が描けないと、不安や焦りが湧いてきます。

また、年齢を重ねても同じ働き方でいけるのか?という不安も、多くの人が30代・40代で感じる共通の悩みです。

そんなときこそ、自分の時間やスキルの使い方を見直してみるチャンスです。無理して走り続けるより、立ち止まって別の道を検討してみることも、キャリア戦略のひとつです。

「辞めるべきかどうか」で迷ったときの3つの判断基準

仕事を辞めたいと感じたとき、多くの人が「今辞めるべきなのか、それともまだ頑張るべきなのか?」という悩みに直面します。衝動的に辞めてしまって後悔する人もいれば、我慢を続けて心や体を壊してしまう人もいます。だからこそ大切なのは、「辞める・辞めない」を感情だけで決めるのではなく、自分なりの判断基準を持つことです。仕事を辞めるべきか悩んだとき考えるべきは以下の3つです。

  • お金
  • スキル

この3つの視点で考えることで、本当に辞めるべきかどうかを判断しやすくなります。

【心】ストレスは日常的か?慢性的か?

今日はなんだか疲れたなという程度の一時的な疲れは、十分な休養を取れば回復するものです。しかし、「毎日憂うつ」「朝起きるのがつらい」「仕事中も心がザワザワしている」など、ストレスが慢性化している場合は要注意です。

ストレスが積み重なると、やがて心身の不調として現れることもあります。眠れない、食欲がない、人と話したくないなどのサインがあれば、働き方そのものを見直す時期かもしれません。

短期的に辞めたいと思っているのか、長期的に「続けることができない状態」なのか、自分の心の状態を丁寧に見つめてみましょう。

【お金】最低限の生活資金が確保できるか?

辞めたいけど、お金が不安で動けないという人も多いことでしょう。そんなときは、辞めた後に最低限の生活が成り立つかどうかを冷静に見積もってみることが大切です。

一般的には、6か月分の生活費を目安に貯金があるかどうかがひとつの判断基準です。それに加えて、在職中に副業で収入源を作ったり、退職後すぐに仕事を探すための準備をしたりしておくことで、経済的な不安を格段に減らすことができます。

生活防衛資金があれば、「今すぐじゃなくても、いずれ辞められる」という安心感にもつながります。「辞められない」状態で働くのか、「そのうち辞められる」状態で働くのかは、精神的な負担が大きく異なります。

【スキル】市場価値を把握しているか?

今の仕事を辞めた後、次にどうやって食べていくのか……。これを考えるうえで大切なのが、自分のスキルや経験がどのくらい転用可能か、つまり市場価値があるかという視点です。

その問いに答えるためには、転職サイトで求人を眺める、転職エージェントに相談してみるなどの方法が有効です。今すぐに転職活動をする気がない場合でも、スカウト型の転職サイトに登録して、企業からのオファーを見てみるだけでも市場価値を確認できます。

自分ができること、これから伸ばしたいことを言語化できれば、「辞めても何とかなる」という見通しが持てます。

また、フリーランスや副業に活かせるスキルがあるかどうかをチェックすることも、選択肢を広げるうえで役立ちます。

【対処法】いきなり辞めなくてもいい。「小さな実験」で未来を試そう

今の仕事を辞めることは大きな決断であり、安定していた日常を一変させるため、心配や不安もついてきます。しかし、辞めることを急がなくても大丈夫です。いきなり辞めるのではなく、少しずつ自分に合った働き方を見つけるための小さな実験をしてみましょう。これなら、無理なく未来の可能性を探ることができます。

具体的には、「副業」「情報収集」「人と話す」という3つの方法があります。

【副業】今の仕事を続けながら別の仕事を試す

「今の仕事を辞めるかどうか悩んでいるけど、まずは別の仕事が本当に自分に合っているか試したい」という場合、副業を始めるのが効果的です。

副業の大きな利点は、リスクを最小限に抑えながら新しいキャリアを試せる点です。たとえば、クラウドワークスやココナラなどで、ライティングやデザイン、プログラミングなど自分のスキルを活かせる案件に挑戦してみましょう。

副業を通じて、本当にやりたいことや自分が得意なことがより明確になります。また、本業の給与にプラスαの収入が得られるため、将来的に独立するための資金を貯めることもできます。

副業を始めることで、転職や起業を選ぶ前に自分に合った働き方を少しずつ形にしていけます。そして、副業がうまくいけば、本業を辞める自信にもつながります。

【情報収集】転職市場やフリーランス事情を調べる

仕事を辞めるかどうか決める前に、辞めた後何ができるのか、どんな選択肢があるのかを情報収集しておくことは非常に重要です。

辞めたらどうなるのか、フリーランスとして働くには何が必要かなど、漠然とした不安を具体的な課題に変えるためには、調べることが欠かせません。まずは転職市場の動向を把握しましょう。

どんな業界や職種が今後成長し、求人が増えるのかを調べることで、自分のスキルや経験をどう活かせるかが見えてきます。転職サイトや求人情報を定期的にチェックし、自分が目指す業界の動向をつかむことが大切です。

また、フリーランスに転向したい場合は、フリーランス向けの仕事の受注方法や相場を把握することが大事です。たとえばクラウドソーシングサイトに登録して、どのような案件が求められているのかを実際に見てみることで、スキルの需要と市場の実情を理解できます。

これらの情報をもとに、自分の進むべき方向が少しずつクリアになり、実際に辞める前に「こんな働き方もできる」と選択肢を広げることができます。

【人と話す】同じような経験をした人の話を聞く

実際に同じような経験をした人の話を聞くことは、とても参考になります。

知人や友人に相談するほかに、SNSやオンラインコミュニティで同じような悩みを持っている人とつながることで、より多角的な視点を得られることがあります。たとえば仕事を辞めてフリーランスとして活躍している人や、転職を成功させた人のストーリーを聞くことで、実際にどう動いたのか、どんな課題があったのかがわかります。

このとき、成功した事例だけでなく、失敗から学んだことやどんな心構えで辞めたかといったリアルな声を聞くことで、自分に合った方法を見つけるヒントになります。

また、そうした人々とコミュニケーションをとることで、モチベーションを高められるのも大きな利点です。自分と似たような悩みを持っている人がいるとわかることで、「自分だけじゃないんだ」と心強く感じられます。

辞めることは失敗や逃げじゃない。自分を守るための選択肢

多くの人は、仕事を辞めることを「失敗」や「逃げ」と捉えがちです。しかし、実際には辞めることは必ずしも悪い選択ではありません。むしろ、自分を守るための大切な決断として、前向きに捉えるべきです。

特に、心身の健康やキャリアにおいて不安を感じた場合、それに従って行動することが最終的には自分の幸せにつながります。

健康より大切なものはない

体調を崩して初めて、無理をしてまで働く意味を見失った、という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。私も会社員時代、仕事が忙しすぎて心身を壊してしまった経験があります。そのとき気づいたのは、どんなに仕事が忙しくても健康を犠牲にしてまで働く価値はない、ということです。

長期間にわたって心身の不調を感じながら働くのは、生産性も低下し、最終的には自分にとって大きな損失となります。身体的・精神的な不調は、無理をすればなんとかなるといった単純な問題ではありません。

自分の健康を最優先に考え、無理をしない働き方を選ぶことが、長期的には自分のキャリアや生活の安定につながります。健康でいるからこそ、次のステップに進む準備が整います。

もし今の職場がそれを損なうような状況であれば、辞めることもひとつの選択肢として視野に入れるべきです。

合わない職場は誰にでもある

職場環境や人間関係が合わないことは誰にでもあります。どんなに自分が努力しても、職場のカルチャーや周囲の人々との相性が合わない場合、どうしても仕事に対するモチベーションが低くなり、疲弊してしまうことは珍しくありません。

これは個人の能力の問題ではなく、環境や他者との関係の問題であることを理解しておくことが大切です。

たとえば上司の指示が不明確である、同僚とのコミュニケーションがうまくいかない、職場の価値観や働き方に共感できないといったことが原因です。こうした状況を長期間続けることで、心身が疲弊し、仕事に対するやる気が失われてしまいます。

無理にその環境に適応しようとするのではなく、自分に合った働き方や職場環境を見つけることが、最終的には自分を守ることにつながります。

もし、どうしても今の職場に馴染めないと感じた場合、辞めるという選択をすることは、決して敗北ではなく、次の自分のキャリアに向けての一歩です。

キャリアは分岐しながら築くもの

辞めるという決断を下すとき、どうしてもその後のキャリアに対する不安や焦りを感じるかもしれません。しかし、キャリアはひとつの直線的な道ではなく、分岐しながら築いていくものだと理解することが大切です。

ある職場で「キャリアアップが難しい」と感じたとしても、それは「キャリアが終わる」という意味ではありません。むしろ、その職場を辞めることで、自分の価値観に合った次のステージに進むための第一歩を踏み出したことになります。

転職やフリーランスとして新たな道を選ぶこともできますし、今までとは違うスキルや経験を積むことで、以前よりも自分に合ったポジションを見つけることは可能です。キャリアはさまざまな分岐点があり、その選択の一つひとつが、自分の成長や価値観に近づくためのプロセスなのです。

辞める前にやっておきたい3つのこと

仕事を辞めることを決断する前に、少し立ち止まって自分の気持ちを整理する時間を持つことはとても大切です。辞めるべきかどうかの判断は急いでしまいがちですが、冷静に考えることでよりよい決断ができるはずです。

1.悩みを紙に書き出す

頭の中でグルグルしている悩みや不安は、言葉にして紙に書き出すと、驚くほど整理されます。日々の忙しさに追われていると、自分がどんなことで悩んでいるのか、どんな不安を感じているのかを明確に把握できないことがあります。

しかし、悩みを言語化することで、自分が本当に不安に思っていることが見えてきます。

まずは、仕事のストレス、上司や同僚との関係、仕事内容に対する不満、将来のキャリアに対する漠然とした不安など、一つひとつ書き出してみましょう。次に、その中で特に重要だと感じるものをピックアップします。そして、その悩みが解決可能なのか、あるいは今後もずっと付き合っていかなければならない問題なのかを考えます。

悩みを紙に書き出すことで、何が自分にとって最も重荷になっているのかを客観的に見つめ直し、次のステップに進む際の指針を得ることができます。

2.理想の働き方を想像してみる

理想の働き方をイメージしてみることも重要です。悩んでいるのは、今の働き方に合わない部分があるからかもしれません。そうであれば、次にどんな働き方をしたいのか、理想的な働き方を具体的に想像することが、今後の方向性を決める手助けになります。

たとえば以下のように、自分にとって心地よい働き方を思い描いてみてください。

  • ほぼ定時帰りを実現して自分の時間をしっかり確保する働き方
  • 在宅勤務で通勤時間をなくして家族との時間を大切にする働き方
  • 1日数時間だけ働くという効率的な働き方 など

理想の働き方をイメージすることで、今の状況がそれにどれだけ近いのか、あるいは遠いのかを客観的に考えることができます。

もし今の働き方が理想と大きく乖離しているのであれば、それが辞める理由になり得ます。理想に近づくために必要なことは何か、どんな選択肢があるのかを整理することが、よりよい未来につながります。

3.選択肢を知る

選択肢を知ることも、とても大切です。仕事を辞めたいと悩んでいる人に会ったことが何度もありますが、共通しているのが「自分には選択肢がほとんどないと思っている」ということです。

特に40代以上の方が若年時に過ごした社会は、会社に就職して、正社員として定年まで勤め上げる働き方が当たり前の価値観でした。だからこそ「辞めたらもう終わりだから働き続けるしかない」「辞めるか、辞めないかの2択しかない」といった悲壮感をもっている方が多いのです。

しかし、仕事は辞めても辞めなくても、選べる道はたくさんあります。時代は変わったのです。今は、いろいろな選択肢があるし、選択肢の種類や選び方、注意点といった情報にいくらでもアクセスできます。

たとえば副業を始めて少しずつ収入を増やすこともできますし、転職をして自分に合った職場を見つけることもできます。また、フリーランスとして独立する道もあります。これらの選択肢を知るだけで、気持ちが軽くなります。

辞めるという選択が唯一の方法ではなく、現状から少しずつ環境を変えていく方法もあるということを理解しておきましょう。さまざまな道があることを知っているだけで、不安が軽減され、心が楽になることがあります。

まとめ

仕事を辞めたくなるのは、気持ちが弱いからではなく「今の自分に合っていない働き方に気づいたから」です。辞めるか悩んでいる方は、今まさに人生の分岐点に立っているのかもしれません。

辞めるか悩んで頭がぐちゃぐちゃになったときは、「心」「お金」「スキル」の3つの視点で考えてみましょう。辞めても辞めなくても、さまざまな選択肢があることを知っておくことも大切です。

仕事を辞めるべきか悩んだときのよくある質問

Q1. 辞めたい気持ちは甘え?

いいえ、辞めたいと思うのは「甘え」ではなく、自分の内面からの正直なサインです。「仕事がしんどい」「環境が合わない」「やりがいが感じられない」などの違和感は、我慢しても消えることはありません。むしろ、自分に合った働き方を見つけるための第一歩として大切にすべき気持ちです。

Q2. 辞める前にやっておくべきことは?

辞めることを決断した場合、実際に辞める前にしておくべきことは以下の3つです。

  1. 生活コストの見直し(固定費の削減など)
  2. 自分に合った働き方を言語化(週休3日?在宅?副業?)
  3. スモールテストを実行(副業や時短勤務など)

辞めた後に「何も考えてなかった……」とならないためにも、小さく試しながら準備することが安心への近道です。

Q3. ゆるく働いて生活していける?

はい、可能です。実際に私は週休3日・1日4時間を目安に働いていて、贅沢はしないものの生活できています。重要なのは働く時間ではなく、時間あたりの価値(単価)です。スキルや実績を育てていけば、ゆるく働きながらも生活できる道はあります。特に今は、フリーランス・業務委託・リモートワークなど柔軟な働き方が広がっているため、時間にとらわれない働き方が可能です。

Q4. フリーランスや副業で生きていけるの?

正直に言うと、すぐに生きていけるわけではありません。しかし、会社の給料だけに頼らない収入源を持つことは、リスク分散としてとても大事です。会社員のうちに副業で月5万円でも安定して稼げるようになれば、精神的な自由度は一気に上がります。小さく始めて、軌道に乗れば独立も視野に入ります。焦らず、まずは副業→複業→独立のステップを意識するとよいでしょう。

タイトルとURLをコピーしました