自分の仕事は終わったのに、なんとなく周りに合わせて残業してしまう……。こんな経験はありませんか?これは日本の職場に根強く残る「お付き合い残業」という慣習です。無駄な残業が続くと、プライベートの時間が削られ、疲労が蓄積し、仕事の効率も低下します。本記事では、お付き合い残業をやめるメリットと、実践的な対策について詳しく解説します。今日からできる方法を実践し、無駄な残業を減らしましょう。
お付き合い残業はなぜ発生するのか
お付き合い残業とは、自分の業務が終わっているにもかかわらず、周囲の雰囲気や職場の慣習に流されて残業してしまうことを指します。では、なぜこのような状況が発生するのでしょうか?その主な要因と、それぞれの解決策を見ていきましょう。
周囲の目が気になる
「自分だけ先に帰ると悪目立ちするのでは?」と考えてしまうことが原因のひとつです。日本では学校教育や歴史的な背景から、個人よりも集団の和を大事にする傾向が根強くあります。
もちろん和を保つことは大事ですが、だからといってお付き合い残業をする必要はありません。そのためには、「仕事が終わったら帰るのが当然」と意識を変えることが大切です。
評価が下がるのが不安
「早く帰る=やる気がない」と思われるのではないかという恐れも、お付き合い残業をやめられない要因です。この不安は、以下の2パターンに分類できます。
- 定時帰りをしたからといって評価を下げる仕組みは実在しないのに、疑心暗鬼になっている
- 経営者や上司が古い価値観をもった人で、定時帰りをする人の評価を実際に下げている
後者の場合は不安というより会社の体質の問題なので、残業を減らすためにできることは異動や転職です。
しかし実際には、前者のパターンで不安になっているだけという人も多いのではないでしょうか?働き方改革や社会的な価値観の変化を受け、「労働時間」よりも「成果」や「貢献度」が重視されている企業は増えています。
その場合、不安を払拭するには仕事の進捗を上司に見える形で報告し、「やるべきことはやっている」と伝えることが重要です。「長時間働く=評価が高い」という思い込みを捨てることで、定時退社に対する不安を減らせます。
上司や同僚の動向に左右される
「上司が帰らないから帰りづらい」「チーム全体で働く空気がある」などの職場環境が影響しているケースもあります。
解決策としては、定時になったら「お先に失礼します!」と明るく挨拶し、習慣化することが効果的です。上司が帰らないと帰りづらい場合は、「今日は予定があるので」と一言添えるだけでも、帰りやすくなります。
業務効率の問題
本来終わっているはずの仕事でも、タスクの進捗の見える化ができていないために「残業して仕事を続けるべき」と感じてしまうことがあります。
この場合、その日にやるべきタスクを整理し、進捗を明確にすることが重要です。そうすると、「残業してまでやる必要のないタスク」であることが理解できます。
お付き合い残業をなくすメリット
お付き合い残業が当たり前になっている方は、残業しないことのメリットを考えてみましょう。お付き合い残業をなくすことで得られるメリットは数多くあります。ここでは、特に重要な3つのメリットを紹介します。
ワークライフバランスが改善する
お付き合い残業をなくすことで、プライベートの時間を確保できるようになります。趣味や家族との時間が増えることで、精神的な充実感が得られ、リフレッシュすることが可能です。
結果として、仕事の生産性も向上し、より効率的に働くことができます。
モチベーションが向上する
無駄な残業が減ると、疲労が蓄積しにくくなります。十分な休息を取ることで、翌日の業務にも集中しやすくなり、モチベーションの向上につながります。仕事に対する意欲が増し、ポジティブな姿勢で業務に取り組めるようになります。
スキルアップや副業の時間が確保できる
お付き合い残業をなくすことで、スキルアップのための勉強や副業に取り組む時間を確保できます。資格取得や語学学習、専門スキルの習得などに時間を使うことで、キャリアアップの可能性が広がります。転職を視野に入れる場合も、よりよい職場環境へとステップアップする道が開けます。
今日からできる!お付き合い残業をやめる実践テクニック
やめたほうがいいと思いつつもなかなかお付き合い残業をやめられない方へ、今日から実践できる具体的な方法を紹介します。
仕事の進捗を「見える化」する
まずは自身のタスクを整理し、締め切りや進捗をすぐに把握できるようにしましょう。そのうえで、上司やチームに「このタスクは〇時までに終わらせます」と事前に伝えます。自分の中でデッドラインを決めておくことで集中力と仕事の効率が上がり、無駄な残業を防ぎます。周囲にも仕事の進捗が伝わるため、定時帰りへの理解が得やすくなります。
帰ることを習慣にする
定時になったら「お先に失礼します!」と挨拶し、定時退社を習慣化しましょう。最初は、勇気がいるかもしれません。しかし習慣化することで、周囲にもその姿勢を理解してもらいやすくなります。

「あ、この人は定時で帰る人なんだな」と思ってもらえるようになると楽ですよ。
同じ考えの仲間を見つける
同じ考えの同僚と一緒に定時退社することで、孤立する不安を減らすことができます。私も残業が当たり前の職場にいたとき、自分と同じように定時帰りを目標にしている同僚の存在が大きな支えでした。
もし仲間がいない場合には、自分が帰る前に「何かお手伝いできることはありますか?」と聞いてまわるのもおすすめです。周りの人は、本来なら仕事があるから残業しているわけなので、その仕事を手伝って一緒に早く帰るようにしましょう。
もし相手が「仕事がないのに残業している人」だった場合は、手伝いを買って出ることで心理的に残業しづらくなるので、早く帰ってくれるようになります。
周囲の目を気にしすぎない
「自分が帰ったくらいなら職場は回る」と考えましょう。周囲の目を気にしすぎず、自分の仕事が終わったら堂々と帰る意識をもつことが大切です。
誰かひとりが定時で帰ったからといって業務の正常な運営が困難になる職場は、組織としてかなりまずい状況にあります。もし本当に定時帰りが難しい職場なら、職場を変えることも視野に入れることをおすすめします。
時間管理を徹底する
業務の優先順位を決め、効率よく仕事を進めることで、無駄な時間を減らし、定時退社を実現しやすくなります。
優先順位の決め方がわからない方は、重要度と緊急度のマトリクスの活用がおすすめです。
それでも帰りづらいときの対処法
ここまでの内容をどうしても実践できないのは、会社の体質や文化そのものが原因です。職場の文化を変えるためにはチーム全体で定時退社の意識をもつことが重要ですが、自身が役職者やリーダーなどの影響力のあるポジションでない場合には、チームの文化を変えるのは難しい面があります。
そのため、どうしても帰れない雰囲気がある場合は、転職を検討するのもひとつの手です。周囲を変えるのは難しいですが、転職は自分が動くだけなので、手っ取り早く現状を打破できます。
まとめ
お付き合い残業をやめることで、プライベートの時間を確保し、仕事のモチベーションを高めることができます。まずは「1日だけでも定時で帰る」ことを実践し、効率的に働く習慣を身につけていきましょう。