仕事を効率よく進めるために欠かせないのが「段取り力」です。段取りがうまくできると、作業のムダや手戻りが減り、仕事全体がスムーズに進みます。その結果、残業も減り、プライベートの時間も確保しやすくなります。
また、段取り上手な人は報告・連絡・相談(報連相)も的確で、周囲からの信頼を得やすくなります。信頼が高まれば、重要な仕事を任される機会も増え、成果や評価につながることも少なくありません。
この記事では、段取り力が仕事の効率化や評価アップにどう影響するのか、その理由とメリットをわかりやすく解説します。今日から実践できるポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

この記事はこんな方におすすめです。
- 仕事の進め方がわからず、いつも時間に追われている社会人1~3年目の方
- 残業を減らし、効率的に仕事を終わらせたいと思っている若手社員
- 段取り力を高めて、上司や先輩からの信頼を得たいと考えている方
なぜ毎日残業してしまうのか?その原因を整理しよう
毎日遅くまで残業が続くと、仕事が嫌になってしまいますよね。しかし、実はその残業には共通する原因があります。まずはその原因を整理して、自分がどこで時間を取られているのかを把握することが、残業を減らす第一歩です。原因を知ることで、適切な対策が打てるようになります。
作業の全体像をつかめていない
仕事に取りかかるときに、全体の流れや完成形がイメージできていないと、途中で手戻りが発生しがちです。
「これも必要だった」「あれを確認しておけばよかった」と後から気づき、無駄な作業が増えてしまいます。
また、ゴールが見えないまま作業していると、どこまでやればよいのかわからず時間ばかりが過ぎていく原因にもなります。
仕事を始める前に、まずは全体像を頭の中で描く習慣をつけましょう。
優先順位がつけられていない
残業の多い人にありがちなのは、とにかく目の前にある仕事から順に取りかかってしまうことです。
これでは、本当に急ぎの仕事を後回しにしてしまうことがあります。その結果、定時直前になって今日中にやるべき仕事がわかり、焦って残業する羽目になることもあるでしょう。
仕事を依頼されたときや朝の段階で「何を優先すべきか」を確認するクセをつけるだけでも、時間の使い方は大きく変わります。

優先順位を決めるだけで、仕事に取り組む順序が整理され、効率も上がります。
急ぎ対応に振り回されている
急に依頼される仕事に対応するたびに、自分のスケジュールが崩れてしまう経験がある方も多いでしょう。
もちろん急ぎの対応が必要な場面もありますが、すべてを引き受けてしまうと自分のペースを保てません。
「いま取り組んでいる作業はいつまでに終わらせる予定か」を上司や先輩に共有しておくと、無理な依頼を減らすことができます。
優先順位と合わせて、自分の予定を「見える化」する工夫をしましょう。
新人でも実践できる!仕事が早くなる段取り術
残業を減らすためには段取りが欠かせません。段取りとは、仕事の進め方を事前に整理することです。新人の頃は難しく感じるかもしれませんが、小さな工夫を積み重ねるだけで確実に成果が出ます。ここではすぐに実践できる段取り術をご紹介します。
仕事を始める前に「ゴール」と「手順」を紙に書く
仕事を効率よく進めるためには、ゴール(目的)と手順(プロセス)を明確にすることが大切です。
まずゴールを書くことで、「この作業で何を達成したいのか」がはっきりします。これが曖昧だと途中で迷いやすくなり、無駄な手戻りややり直しが発生します。
次に手順を書くことで、作業の進め方に「抜け」がなくなります。頭の中だけで考えていると、後から「これを忘れていた」と気づくことも多いですが、紙に書き出しておけば順序や必要な作業が視覚化され、漏れや重複が防げます。
また、手順が見えていることで作業の見通しが立ち、時間配分も考えやすくなります。「これが終われば次はこれ」と流れを把握しているため、集中力も持続しやすくなります。
ゴールと手順を書き出すことで、「何を・どう進めるか」が明確になり、無駄や迷いのない効率的な仕事ができるようになります。
「ざっくりスケジュール」を先に決める
作業を始める前に「この作業は1時間」「この作業は30分」というように、ざっくりとした時間の目安を決めておきましょう。集中力の維持と修正の判断に役立ちます。
まず、人は時間に制限があると集中力が高まる性質があります。逆に「何時まででもいい」と思っていると、つい手を抜いたり、ダラダラ進めたりしがちです。ざっくりでも時間を決めることで適度なプレッシャーが働き、作業効率が自然と上がるわけです。
また、スケジュールを決めておくことで、途中で遅れに気づきやすくなります。目安を決めずに作業していると「思ったより時間がかかった」と気づくのが遅くなりがちですが、最初に予定を立てておけば早めに上司や同僚に相談する際の判断基準になります。
不明点は「最初に」確認しておく
作業を始めてから「これってどっちだろう?」と迷い、確認のために手が止まってしまうことがあります。これが積み重なると、結果的に大幅な時間ロスになります。
不明点や曖昧な点があれば、作業に入る前にまとめて確認しておくと効率が格段にアップします。
特に指示内容が曖昧だった場合は「こういう認識で進めて大丈夫ですか?」と具体的に確認するようにしましょう。
最初に不安要素を減らしておくことが、段取りの基本です。
並行処理せず、1つずつ終わらせる意識を持つ
複数の仕事を同時並行で進めようとすると、結果的にどれも中途半端になりがちです。
特に新人のうちはマルチタスクよりも「1つ終わらせてから次へ」というスタイルのほうが効率的です。
作業ごとに集中して取り組むことで、ミスも減り、結果的に早く仕事を片付けられるようになります。
どうしても並行しなければならない場合は、優先度の高いものから順番に区切りをつけながら進めるとよいでしょう。
残業を減らすために覚えたい先回り行動
残業を削減するには、段取りを整えるとともに、「先回り」して動くことも有効です。忙しくなってから動くのではなく、少しだけ先を読んで行動する習慣をつけることで、仕事がスムーズに流れるようになります。
「明日やること」を前日にリスト化しておく
業務終了後に「明日やること」を簡単にメモしておくだけで、翌朝のスタートダッシュが決まります。
朝に「何から始めよう……」と迷う時間を減らせるだけでなく、やり残したことにも気づきやすくなります。
前日のうちに予定を立てておくことで、急な仕事が入っても優先順位をつけやすくなるのがメリットです。忙しい時期こそ、前日の準備が効いてきます。
業務に「型」をつくり、繰り返し作業は効率化する
毎回ゼロから考えるのではなく、繰り返し行う作業には自分なりの「型」をつくっておきましょう。
たとえば、報告書ならテンプレートを用意する、定型業務なら手順書をつくっておくなどが有効です。
一度型ができれば、次からはそれに沿って進めればよいだけなので、スピードが格段に上がります。
「忙しいときに頼まれる仕事」は事前に断る準備をする
忙しいタイミングに限って、急に追加の仕事を頼まれることはよくあります。
その場で断るのは気が引けるかもしれませんが、すべてを受けてしまうと結局残業が増える原因になります。
この場合、「この作業が終わってからでよければ対応できます」など、やんわりと調整する言い回しを用意しておくとよいでしょう。
無理に引き受けて残業するよりも、調整して効率よく進めたほうが自分にも会社にもプラスになります。
上手な断り方は、以下の記事で詳しく解説しています。
迷ったら先輩に相談して遠回りを防ぐ
わからないまま自分だけで進めてしまうと、後から「やり直し」と言われて余計に時間がかかることがあります。
特に新人のうちは「これで合っているか確認してから進めよう」という姿勢が大切です。
忙しい時期ほど、遠慮せずに相談することで時間の無駄を減らせます。
自分で考える力も大事ですが、効率的に仕事を進めるために相談するのは立派な仕事術の一つです。
段取り力が身につけば成果も評価もついてくる理由
段取りがうまくできるようになると、ただ残業が減るだけでなく仕事全体がスムーズになります。結果的に成果も上がり、評価にもつながるようになります。ここでは、段取り力が評価に結びつく理由を解説します。
同じ仕事量でも余裕ができて質が上がる
段取りが整っていると無駄な動きが減り、同じ仕事量でも余裕を持ってこなせるようになります。この余裕が「もう一度見直そう」「少し工夫してみよう」といった姿勢を生み出し、仕事の質が格段に上がっていきます。
たとえば、資料を提出する前に誤字脱字をチェックしたり、少しだけレイアウトを整えたりすることで、受け取る側の印象が変わります。
こうした小さな積み重ねが、「丁寧に仕事をする人」という評価につながり、信頼を築くことにつながります。
段取り上手=報連相も上手→上司からの信頼が増す
段取りがうまい人は「今どの段階か」「どこで確認が必要か」を意識して行動しているため、報告・連絡・相談(報連相)のタイミングも的確です。
そのため、上司や先輩も「この人は今何をしているのか」が把握でき、進捗に対する不安がなくなります。
段取りができる人は、小さな違和感でも早めに相談できるため、大きなミスになる前に軌道修正ができます。結果として「安心して任せられる存在」として信頼を得られるようになります。
この信頼が積み重なることで、重要度の高い仕事や裁量の大きい案件も任されるようになり、成果のチャンスが増えていきます。
無駄な残業が減ると良い循環がまわりだす
残業が減ることで得られるのは、単なる自由時間だけではありません。きちんと休息を取れるようになると、翌日の集中力や判断力が向上し、さらに効率よく仕事を進められるようになります。
また、自己研鑽に時間を使えることで、長期的に見ればスキルアップにもつながります。
さらに、仕事とプライベートが両立できると心に余裕が生まれ、人間関係も良好に保ちやすくなるなど、総合的に人生の質が上がっていきます。
段取り力は今の仕事を早く終わらせるためだけでなく、長期的な成長やキャリア形成にも直結する重要なスキルです。
まとめ
新入社員や若手の方にとって毎日の残業は大きな悩みかもしれません。しかし、その原因の多くは段取りの工夫で解決できます。最初はうまくいかないこともありますが、段取り力を磨くことで確実に仕事の効率は上がります。今から少しずつ段取りを意識して、残業ゼロに近づける働き方を目指していきましょう。