気がつけばSNSをチェックし、通知に反応し、次から次へと流れてくる情報を追いかけてしまう……そんな日々に、知らず知らずのうちに疲れていませんか？
現代は情報を得ることが簡単である一方で、どれだけ見てもキリがなく、不安や焦りを感じやすい時代でもあります。知っておかないと損しそうと思って画面を開いた結果、かえって頭がいっぱいになり、集中できない・行動に移せないという悪循環に陥る人も少なくありません。
しかし本当は、情報は量ではなく、質や自分にとっての価値で選ぶものです。必要以上の情報を手放すことで、頭と心に余白が生まれ、自分にとって大事なことが見えてきます。
この記事では、情報疲れを引き起こす原因や仕組みをひもときながら、無理なくできる情報との距離の取り方、日常で実践できる工夫を紹介します。
この記事はこんな方におすすめです。
- SNSやニュースをつい見すぎてしまい、疲れを感じている方
- 情報が多すぎて、何を信じていいかわからなくなっている方方
- 常に通知や情報に追われ、集中力が続かない方
- 自分の時間や思考を取り戻したいと考えている方
なぜ「情報疲れ」が起きるのか
便利なはずの情報が、なぜか疲れやストレスの原因になる……それが「情報疲れ」です。この章では、私たちがなぜ情報に疲れてしまうのか、その背景や構造をひもといていきます。
情報量の爆発的増加
情報社会が進む中で、日々受け取る情報量は劇的に増加しています。スマートフォンの普及により、通知・SNS・ニュースといった情報が24時間手元に届くようになりました。
SNSの無限スクロール地獄は、自分でも気づかないうちに時間と集中力を奪っていきます。ニュースアプリも更新され続け、終わりのない情報の海に私たちは沈みがちです。
本来便利なはずの情報ですが、コントロールできない状態になるとストレスの要因に変わってしまいます。
「知らないと不安」という情報依存
「世の中で起きていることを知らないと怖い」「周囲の話題についていけないと置いていかれる」などの不安から、私たちはつい情報を追い続けてしまいます。
これは情報依存といえる状態です。知らない＝損、という感覚が強まり、必要以上に情報を取りにいく習慣がついてしまうのです。
しかし、それによって本当に必要な情報まで埋もれてしまうことは少なくありません。知らないと不安という感情が、冷静な判断を曇らせている可能性があります。
情報に振り回される仕組みを知る
SNSやニュースサイトにハマるのは、実はごく自然なことです。なぜなら、私たちの脳は刺激に反応しやすく、特に「驚き」や「怒り」「共感」など、強い感情を引き起こす情報には本能的に引きつけられてしまうからです。
実際、SNSのアルゴリズムは私たちの注意を引きつけ続けることを目的に設計されています。
たとえば、過去に「いいね」やコメントをした投稿、長く閲覧した動画などをもとに、「あなたが興味を持ちやすい、感情を動かされやすい情報」を優先的に表示する仕組みです。これはユーザーの滞在時間を伸ばすことで広告収益を高めるというビジネス上の目的と直結しています。
つまり、私たちは「見たい情報」を見ているのではなく、「見せられた情報」に反応しているだけの場合が少なくないのです。
情報を自分で選んでいるつもりでも、実はプラットフォーム側に選ばされた情報に感情を揺さぶられている……。そんな構図に、知らず知らずのうちに巻き込まれているのですね。
情報を減らすると損するのか？
情報を減らす、距離を取ると聞くと「それって損じゃない？」「知識が足りなくて不利になるのでは？」と感じる人も多いかもしれません。しかし、むしろ情報を絞った方が本当に必要なことに集中でき、行動に結びつきやすくなります。
この章では、情報を減らすことのメリットについて見ていきましょう。
情報を受け取る量が多い＝得ではない
一見すると、たくさんの情報を受け取っているほうが得をしているように思えます。しかし実際には、多すぎる情報は判断の質を下げ、思考を散らしてしまうことがあります。
情報が多すぎると、どれが本当に重要なのかわからなくなり、かえって混乱を招くこともあります。
また、次から次へと情報を追っていると、深く考える時間や余裕が奪われてしまいます。得ているようで、実は行動に活かせない情報が増えているケースは多いです。
情報を見すぎると行動できなくなる
情報をたくさん見ていると、つい「まだ足りない」「もっと調べないと」と考えてしまい、実際の行動に移せなくなることがあります。
これは、情報過多による麻痺状態のようなものです。選択肢が多すぎると決断できなくなる決定疲れが起き、先延ばしや無気力につながります。
また、他人の成功体験や意見を見すぎると、自分との比較ばかりして自己肯定感が下がるケースもあります。
情報は適度に受け取ってこそ、行動を後押ししてくれるものです。
情報を絞るとパフォーマンスが上がる理由
情報を減らすと、脳や心に余白が生まれ、「考える」「感じる」といった本質的な活動がしやすくなります。情報を厳選することで集中力が上がり、生産性や創造性も高まるので、結果的にパフォーマンスの向上につながります。
集中力が高まり、深く考えられる
受け取る情報が少なくなると、注意力が分散せず、ひとつのことに集中できるようになります。集中力が高まると、より深く考えることができ、アイデアの質や判断力も向上します。
また、作業中に気が散ることが減るため、効率的に仕事が進みます。
SNSやニュースのチェックを減らすだけでも、脳のリソースを節約できる効果は非常に大きいです。
今やるべきことにエネルギーを注げる
情報を厳選することで、「今、自分が何をすべきか」がより明確になります。あれこれと気を取られず、目の前のタスクや目標に集中できるようになるためです。
これは、エネルギーの浪費を防ぎ、最短距離で成果につなげるための重要なポイントです。
余計な情報が入ってこないことで、迷いが減り、意志も強く保ちやすくなります。
インプットとアウトプットのバランスが整う
情報を受け取る（インプット）ばかりだと、知識があっても活かす場がなくなってしまいます。
一方、情報を絞ることで、自然と「得たことを行動に移す（アウトプット）」意識が高まります。
たとえば、読んだ記事を実際に試してみる、学んだことを発信してみるなどのサイクルが回ることで、学びの定着率や実践力が格段にアップします。インプットとアウトプットはバランスが大事です。
情報とのちょうどいい距離のとり方
情報疲れを防ぐには、日々の情報との付き合い方を見直すことが大切です。無理に絶つのではなく、自分にとって心地よい距離感を見つけていきましょう。この章では、実践的な情報との付き合い方を解説します。
目的のない情報収集はやめる
なんとなくSNSを開く、暇つぶしにニュースアプリを見るといった習慣が積み重なると、知らず知らずのうちに情報疲れを起こしてしまいます。
情報を取りにいくときは「何のために見るのか？」という目的意識を持つことが大切です。
たとえば、「仕事の調べ物をする」「明日の天気を確認する」といった具体的な理由があるかどうかを自分に問いかけてみましょう。目的のない情報収集は、頭の中を散らかす原因になりがちです。
見る時間を決める
情報との距離を取るために有効なのが、「見る時間を決める」ルールをつくることです。
たとえば「朝と夜に10分だけSNSを見る」などの形で、自分の中で明確な時間枠を決めてしまえば、だらだらと情報を見続けることを防げます。
また、時間を制限することで情報の質を選ぶ意識も高まります。限られた時間の中で本当に必要なものだけに触れるようになるため、自然と情報の取捨選択も洗練されていきます。
通知オフ、視界に入らない工夫が有効
以下のような環境づくりは、情報との距離を自然に保つための有効な方法です。
- 通知をオフにする
- スマホを寝室に置かない
- アプリをホーム画面から2ページ以降や奥に移動させる など
私たちは意志の力だけでは誘惑に勝てないこともあります。だからこそ、物理的に視界に入らないようにする工夫が効果的です。
習慣が変わるまでの初期段階では、こうした仕組みの力を借りることが重要です。
「自分軸」で判断するクセをつける
情報過多の時代においては、流れてくる情報をただ受け入れるだけでは、気づかぬうちに他人の価値観や世間の空気に振り回されがちです。
だからこそ、「この情報は自分にとって本当に必要か？」を判断するための自分軸を持つことが重要です。
たとえば以下のような小さなマイルールを設けるだけでも、自分が何に時間と意識を使うかを選び取る姿勢が育まれます。
- 朝はSNSを見ない
- 芸能人のスキャンダル情報は見ない など
こうした選択の積み重ねが、「主導権は自分にある」という感覚を強くしてくれます。
さらに、情報をただ受け身で消費するのではなく、能動的な姿勢に変えることで、情報との付き合い方が大きく変わります。
- 自分が本当に知りたいテーマについて調べる
- 信頼できる一次情報源にあたる など
このように能動的に情報を取りにいく人は、必要な知識を自分の意思で選び、活用する力が自然と身についていきます。
情報に選ばされる側ではなく、情報を選ぶ側に立つ意識が、情報に振り回されない生き方への第一歩です。
まとめ
情報社会を生きる私たちにとって、情報との付き合い方は生活の質を左右する重要なテーマです。必要以上の情報は、知らず知らずのうちに心と体を疲れさせます。だからこそ、情報との距離を見直し、自分にとって必要なものだけを選び取る力が求められます。
情報を減らすことは、決して逃げではありません。むしろ、自分らしく心地よく働き、暮らしていくための第一歩です。自分軸を持ち、余白を大切にしながら、情報と上手に付き合っていきましょう。
