時間が足りない、タスクが終わらない、気づけば1日が過ぎていた……。そんな日々から抜け出すには、「もっと頑張る」ではなく、「ムダなことをやめる」ことが近道です。「やらないことリスト」を作り、日々の時間を有効活用しましょう。
この記事では、会社員10年・フリーランス10年で身につけた「やらないこと」の視点から、どんなことを手放せるのかをジャンル別にご紹介します。
「やらないことリスト」とは?
「やらないことリスト」とは、その名のとおり「やらない」と決めた行動のリストです。
多くの人が、日々のタスクを管理するために「To Doリスト(やることリスト)」を作っています。しかし、実は「やること」ばかりに目を向けていると、時間もエネルギーもどんどん奪われていきます。
そこで有効なのが「やらないことリスト」を作ることです。このリストを作成することで無意識のムダを可視化し、手放すことができます。結果として、少ない労力でより大きな成果を出せるようになります。
実際、生産性の高い人や、自由な働き方を実現している人ほど、「何をするか」以上に「何をしないか」がはっきりしています。それは、限られた時間と集中力を本当に意味のあることに使うための、賢い戦略なのです。
【実践アイデア】やらないことリスト例
ここでは、ジャンル別に「やめられること」の具体例をご紹介します。自分の生活に当てはめながら、やめられそうなことを探してみてください。
仕事編
働くうえで、ムダな力の入りすぎや惰性で続けている作業は、見直すと大きな時短になります。成果や本質にフォーカスするために、以下のようなことは「やらない」を意識してみましょう。
- すべてのメールへの即レス
- 完璧な資料づくり(80点主義でOK)
- 毎日の進捗報告(週次でまとめてもOK)
- タスクの一人抱え込み(人に頼む、仕組みで解決)
- 必要のない打ち合わせ前の過剰な準備
- 成果に直結しない作業(例:細かすぎるフォルダ整理)
時間の使い方編
限られた時間をどう使うかは、生活の質に直結します。なんとなく時間を消費している行動を意識的に減らすことで、自由時間がぐっと増えます。たとえば以下のような行動をやめてみましょう。
- なんとなくのスマホチェック
- SNSの通知オン(1日1回だけ見る、などルール化)
- 毎日料理(冷凍・ミールキットの活用)
- 無目的なネットサーフィン
- 通勤ラッシュの時間に移動(座れる時間帯ならインプットに使える)
- 夜ふかし(睡眠不足は非効率)
- 無計画な1日のスタート(朝5分の計画で変わる)
人間関係編
人間関係においても、「無理をしない」「合わせすぎない」ことが、心の余白をつくるコツです。エネルギーを消耗しないための選択も大切です。
- 気乗りしない飲み会や集まりへの参加
- 全員に好かれようとすること
- 遠慮してNOと言わないこと
- 頼まれごとを全部引き受けること
- 表面的な付き合い(SNSだけの関係など)
情報編
情報があふれる現代では、「見ない」「追わない」も大切な選択です。必要な情報だけに絞ることで、思考もクリアになります。
- 毎日のニュース追い(週1のまとめ読みで十分)
- すべてのメルマガ購読
- YouTubeやTikTokの無限視聴
- 比較サイト・レビューを何時間も見る癖
- SNSで他人の成功事例を見て焦ること
お金編
お金の使い方にも「やらないこと」を設けると、浪費を防ぎつつ、本当に価値を感じることに使えるようになります。以下のようなことをやめてみると、収入が少なくてもお金が自然と貯まります。
- セールだからと買い物する習慣
- ポイントのためだけに買うこと
- 見栄のための支出
- 「元を取る」思考でモノやサービスを買うこと
- 安さだけで選ぶこと
習慣・思考編
自分を縛る思考や習慣も、やめてみることで大きな変化が生まれます。心身を整えるうえで効果的な「引き算」の例です。
- 完璧主義
- 他人と比べる癖
- 「やらなきゃ」に縛られること
- 1つの手段にこだわること
- 毎日100%の成果を出そうとすること
- 「正しさ」で人を縛ること
- ネガティブな言葉を口にすること
- 過去の失敗を引きずる
やらないことリストを作成することで得られるメリット
「やらないこと」をリスト化しておくと、日々の行動や判断が格段にシンプルになります。時間も、エネルギーも、思考も、本当に必要なところに集中できるようになり、結果的に短い時間でもしっかり稼ぐための土台が整います。以下では、やらないことリストを作成する主なメリットを4つの観点から解説しす。
時間の余白が生まれる
わたしたちは日々、思っている以上に多くの「やらなくてもよかったこと」に時間を使っています。
たとえば、惰性でチェックしているSNS、返さなくても問題ないメール、つい受けてしまった不要な会議など……。これらを「やらない」と決めるだけで、1日1〜2時間の余白が生まれることも珍しくありません。
この余白は、単なる空き時間ではなく、自分のエネルギーを再生させたり、新しいアイデアを生みだしたりするための「ゆとりの時間」として機能します。ゆとりの時間があることで、睡眠の質が上がったり、家族との関係がよくなったりと、生活全体にポジティブな変化が現れます。
迷いが減って集中力が高まる
やらないことが明確になると、「これはやるべきかどうか」で迷う時間が劇的に減ります。人間の脳は選択肢が多いほど疲れるため、選択肢を減らすことは集中力の維持に直結します。
たとえば、毎朝何を着るか迷う時間をなくすために服を制服化するというのも、やらないことリストに通じる発想です。
自分の中で「これを考えるのはやめよう」と決めておくと、判断に使うエネルギーが節約され、代わりに重要な業務や創造的な活動に集中できるようになります。
ストレスが減る
多くのストレスは、やらなくてもいいことを、義務感でやっている状態から生まれます。人付き合い、仕事の引き受け方、完璧を求める姿勢……。無理に背伸びして続けていることが、自分の時間も気力も消耗させてしまうのです。
「やらないことリスト」は、そうした無意識のプレッシャーから自分を解放する手段です。「これはやらないと決めた」と言語化することで、罪悪感が減り、自分に優しくなれます。
結果として、心の余裕が生まれ、長く安定して働けるコンディションが整います。
やるべきことの優先順位が見えてくる
やらないことをはっきりさせると、逆に「これはやるべきことだ」というものが浮かび上がってきます。やることを増やすよりも、やらないことを減らすほうが、優先順位の軸は明確になります。
たとえば、「売上に直結しない業務は原則やらない」と決めたら、「じゃあ、売上につながる行動って何だろう?」という視点が自然と育ちます。
やるべきことの本質を見極められるようになり、少ない時間で大きな成果を生み出す働き方ができるようになります。
自分だけの「やらないことリスト」を作るコツ
「やらないことリスト」は、人によって中身が大きく異なります。大切なのは、世間の正解ではなく、自分の生活や働き方にフィットしたリストを作ることです。以下のステップを参考に、自分だけの「やらない」を見つけていきましょう。
1日の行動を振り返る(ムダに感じたことは?)
まずは1日の流れを思い出しながら、「これは別にやらなくてもよかったかも」と思う行動をピックアップしてみましょう。
たとえば、何となくスマホを見ていた時間、目的もなくネットを徘徊していた時間、何度も見直してしまうメールや資料などが挙げられます。
この段階では、反省や自己嫌悪は不要です。「時間とエネルギーを取られたけれど、成果や満足度が低かったこと」をフラットに見つけ出すことが目的です。気づきの種を拾うつもりで、気軽に書き出してみてください。
成果に結びついていない行動を見つける
「一見がんばってるけど、結果に結びついていないこと」にも注意が必要です。
たとえば、完璧な資料づくりに時間をかけすぎていたり、必要以上に返信が早いことを自分に課していたりしないでしょうか?このような「がんばりの空回り」は、意外と多くの時間を消費しています。
成果との関係性を意識すると、「自分がやる意味のあること」と「やらなくていいこと」の線引きが見えてきます。
「時間をかけた=価値がある」とは限らないという視点を持つことがポイントです。
代替手段があるかを考える
やらないことを見つけたら、次に考えたいのが「どうすれば手放せるか?」という視点です。全部を完全にゼロにしなくても、自分が直接やらなくて済む方法に置き換えられるケースは少なくありません。
たとえば、毎月の請求書作成を自動化する、食材の買い出しを宅配にする、SNSの更新を週1でまとめて予約投稿にするといったことです。
今は便利なツールやサービスがたくさんあります。手間を減らす方法はないかと常にアンテナを張っておくと、無理なく「やらない」を実現できます。
すべてを一度にやめようとしない
いきなり多くのことをやめようとすると、かえって混乱やストレスを招きます。まずは「これだけはやめたい」という1つを選び、試してみましょう。それだけでも、日々の感覚が少しずつ変わってくるはずです。
「やめてみたら意外と大丈夫だった」「思ったよりラクになった」と感じられれば、次の1つも自然とやめられるようになります。
少しずつでもいいので、自分なりの引き算の習慣を積み重ねていくことが、心地よい働き方・暮らし方への第一歩になります。
まとめ
「やらないことリスト」は、単なる効率化のテクニックではなく、「自分の時間をどう使うか」を主体的に選ぶためのツールです。今日から、少しずつやめるという選択を始めてみませんか?小さな一歩が、自由で柔軟な働き方への大きな一歩になるはずです。