私たちは日々、数多くの選択をしています。食事のメニュー、服装、仕事の優先順位……。これらの選択が積み重なることで、意外にもエネルギーを消耗してしまうことがあります。
迷う時間を減らすことは、実は働き方や生き方を軽くするための大きな一歩です。今回は、そんな迷う時間を減らす方法について、私が実践している内容を紹介しつつ、どのように人生や仕事によい影響を与えているかをお伝えします。
「迷う時間」「選ぶエネルギー」が奪っているもの
そもそも「迷う時間」や「選ぶエネルギー」について、それほど深く考えたことがない方も多いのではないでしょうか。しかし、私たちに与えられた時間は1日24時間しかありません。その限られた時間の中で、不必要なものは削っていくというのは、仕事を効率化するうえで非常に重要な視点です。
「選択疲れ」が集中力を削る
日々の微細な選択が、意外にも大きなエネルギーを消耗します。ランチに何を食べるか、どの服を着るか、どのタスクを先にやるかといった毎日の小さな選択が積み重なることで、気づかぬうちに集中力が削られているのです。
たとえば、ランチメニューを決めるのに時間をかけることが多いと、午後の重要な仕事に取り組むエネルギーが減ってしまいます。細かな選択にムダにエネルギーを使わないようにすることが、効率的な仕事をするための第一歩です。
意志力には限界がある
意志力も筋力と同じように使い過ぎると疲労します。選択を重ねると、だんだんと力が弱くなっていき、最終的には重要な決断を下すことが難しくなることもあります。これは「意志力の疲労」とも言われます。
意志力が低下するとさまざまな悪い影響があります。たとえば、優先順位の判断が鈍り、やるべき仕事よりも、手をつけやすい仕事や気が乗る仕事ばかりを選びがちになります。その結果、重要だけど負荷の高いタスクは先延ばしにされ、締切直前に慌てて取りかかることになるでしょう。これは、結果的に仕事のクオリティの低下やストレスの増加を招きます。
また、意志力が弱っている状態では集中力が続かず、何度もSNSを見てしまったり、メールチェックばかりしてしまったりと、生産性が著しく落ちます。
さらに、人間関係にも影響が出ることがあります。余裕がなくなることでイライラしやすくなり、同僚とのやり取りが雑になるなど、職場での信頼を損なうリスクも生じます。
迷わないために、私が実践していること
迷うことをやめるには、どうすればいいのでしょうか?「なんでも即決する」と意識するのは、思っている以上に難しいことかもしれません。それよりも、最初から「迷わない仕組みをつくる」ことが簡単で効果的です。
仕事がある日のルーティンは完全に固定
仕事がある日については、朝起きてから最初に行うことをルーティン化し、毎日の選択を減らしています。毎日同じことを繰り返すことで、意志力を温存し、重要なことに集中できます。
たとえば私の場合、朝食は毎日ミックスナッツを食べるようにしています。「今日はお米と何のおかずにしようかな?」「今日はパンにしようかな?」と毎日迷うのは楽しさもありますが、考える時間がかかりますし、考えること自体が面倒です。朝食の準備にも時間がかかりますよね。この習慣は、時間に余裕がある休日ならよいのですが、仕事がある日は負担が大きいことに気付いたのです。
そこで朝食には無塩のミックスナッツを毎日食べるようにしたところ、「朝食を選ぶ労力」と「朝食を選ぶ時間」、「朝食を準備する時間や片付け時間」を大幅に削減できました。ナッツは日持ちするのでネットでまとめ買いしておけて、朝食用の食材を買う時間もほとんどかかりません。毎日同じなので選ぶ疲労はないですし、早めに仕事に取りかかれるようになったため、仕事が終わる時間も前倒しになりました。
ほかにも仕事がある日について、事前に決めておくとラクなことはたくさんあります。
- 仕事に着ていく服、髪型、メイク
- 通勤ルート、通勤方法(天候に応じてパターン化)
- ランチや帰宅後の夕食メニュー(飽きる場合は曜日でパターン化)
- デスクまわりの物の配置 など

服装については、時間があるときにクローゼットの中をチェックし、コーディネートの写真を撮っておくとラクですよ。会社員の方はもちろん、お子さんの朝の支度が遅いというご家庭にもおすすめです。
このように仕事がある日の行動をできるだけルーティンとして固定化することで、朝一番のエネルギーを選択する行為に使わず、仕事にすぐに集中できます。
仕事の順番は「迷わず始められる」形にしておく
出社したあとに「今日はどの仕事から始めよう?」と考えるのは、意外と大きなエネルギーを消耗する行為です。この「迷い」は脳に余計な負荷をかけ、集中力を削ぐ原因になります。対策としては、仕事を進める順番や流れをあらかじめ決めておくことが有効です。「次に何をすればいいか」を考える時間を最小限に抑えることができ、迷うことなく次の仕事に移れます。
具体的には、以下のような方法を実践しています。
- 仕事の時間帯ごとにやるべき種類を決める:午前中に「考える仕事」、午後に「手を動かす仕事」など、時間帯ごとに自分の仕事をカテゴリ化しておく
- 始業ルーティンをつくる:パソコンを立ち上げてから10分でメールなどを確認 → 優先順位の再確認 → 最優先タスクに着手、というように最初の流れを自動化しておく
- ToDoリストは前日か前週に決めておく:仕事終わりや週末のうちに「明日/来週は何をどの順にやるか」を決めておく
選ばない仕組みを生活に入れる
仕事がある日でも当然自分の生活があります。そこで生活面でも、選ばない仕組みを導入しています。
たとえば、「あっ、シャンプーが切れていた!」と気付き、会社帰りにドラッグストアに寄って買うのって疲れませんか?早く帰って体を休める時間が減るし、買う予定がなかった商品が目に入って選ぶ行為も生じます。
そこで私は、日用品はドラッグストアの宅配サービスを利用するようにしました。注文するのは月に1度です。シャンプーや洗剤、トイレットペーパーなどの必ず使う日用品は買う商品を固定化し、先月と同じものを注文します。

注文履歴からチェックを入れるだけなので、迷う労力も時間もかからず、頭も疲れません。毎月注文していると、ストックがいくつあればその月を過ごせるのかもわかるので、日用品を切らして慌てることもありません。
日常生活の中に導入できる「選ばない仕組み」は、ほかにも以下のようなものがあります。
- 洗濯や掃除などの家事は「曜日固定制」で回す
- 夕食は食材宅配サービスでメニューごとに届けてもらう、毎月固定化(献立を考えない)
- 帰宅後の過ごし方はパターン化(読書や勉強、ジムなどやることを決めておく) など
迷わないことがもたらす効果
「迷う時間」「選ぶエネルギー」を徹底的に減らすことで、以下のような効果を実感できます。
集中力が残る
迷う時間を減らすと、一番大事な仕事にエネルギーを注げるようになります。重要な決定や集中を要する仕事に十分なエネルギーを使えるようになり、仕事のパフォーマンスが向上します。結果的に仕事が早く終わるようになり、残業も減るはずです。
メンタルが安定する
決断のストレスを減らすことができるため、心の中の余裕が生まれます。これにより、重要なことに集中しやすくなり、仕事やプライベートでのストレスも軽減できます。

疲れているときの「今日の夕食の献立考えなきゃ」といったストレスがなくなり、気持ちがラクになりました。
生活全体に余白が生まれる
毎日の「やるべきこと」を自動化したり、決めておいたりすることで、生活に余白が生まれます。決断に使うエネルギーを減らすことで、もっとリラックスして過ごせる時間が増えます。この余白が心のゆとりや仕事に対する余裕につながり、生活全体が軽やかに感じられます。
まとめ:ゆるく働くために「選ばない」も戦略
週休3日のようなゆるい働き方を実現するには、日々の行動に費やす時間を減らすとともに、エネルギーの使い方を整えることが大切です。迷う時間を減らすこと、そして選択肢を減らして本当に大事なことに集中することが、より軽やかな働き方や生き方につながります。
自分自身のエネルギーをうまく配分して、シンプルに仕事を進めることができれば、同じ時間でも充実した時間を過ごすことが可能です。少しずつ実践し、自分に合った方法を見つけていきましょう。