SNSで副業の勧誘DMを受け取ったことはありませんか?
「スマホ一つで簡単に稼げる」「短時間で月20万円」などの魅力的な言葉に惹かれてつい返信してしまいそうになりますが、実はこれらのほとんどが詐欺です。近年、SNSを狩場にした副業詐欺が急増しており、被害に遭う人が後を絶ちません。
本記事では、SNSで届く怪しい副業DMの典型的なパターンと手口、そして実際にDMが届いたときの対処法を詳しく解説します。

この記事はこんな方におすすめです。
- 副業に興味があり、SNSで副業DMを受け取ったことがある方
- 怪しい副業勧誘の見分け方や対処法を知りたい方
- 安全に副業を始めたいが、詐欺に巻き込まれるリスクを避けたい方
SNSでの副業勧誘が99%詐欺である理由
副業を探す人が増える一方で、それに便乗した詐欺も急増しています。とくにX(旧Twitter)やInstagramでは、DM(ダイレクトメッセージ)を通じて「副業に興味ありませんか?」と勧誘する手口が日常的に使われています。
こうした勧誘の多くは、実態のないビジネスや高額商材への誘導を目的とした詐欺行為です。なぜSNSがこれほどまでに副業詐欺の温床になっているのか、その構造と理由を理解することで、被害を未然に防ぐことができます。
この章では、SNS環境が詐欺にとってどれだけ都合の良い「狩場」なのか、そして詐欺師に狙われやすい人の特徴について解説します。
詐欺師にとってSNSは“狩場”
フォローやDMの送信には一定の制限があるものの、基本的には広範囲にアプローチすることが可能です。検索ワードやハッシュタグを活用すれば、「副業」「在宅ワーク」「自由な働き方」などのキーワードに関心を持つアカウントを効率的に抽出できます。
詐欺師はこの機能を利用し、自動化ツールや複数アカウントを駆使して、ターゲットに一斉にアプローチを仕掛けてきます。
また、SNSは実名制でないことが多く、詐欺師にとって身元がばれにくいのも大きな利点です。運営側に通報されても、すぐに別アカウントを作り直せば活動を継続できます。
投稿やプロフィールの内容も自由に加工できるため、「実績のある起業家」「自由に暮らすフリーランス」を演じて信用を得ようとします。
さらにSNSの特性上、共感や親近感を持たせやすいことも詐欺師に有利に働きます。共通の趣味やライフスタイルに触れながらメッセージを送ることで、「この人は怪しくないかも」と思わせる心理テクニックが用いられます。
こうしてSNSは、詐欺師にとって“狩場”として最適な条件がそろっているのです。
「副業を探している層」が狙われやすい
SNSで副業を探している人ほど、詐欺のターゲットになるリスクがあります。
特にプロフィール欄に「副業したい」「時間に縛られない働き方がしたい」などの表現があると、詐欺師にとっては格好のカモと見なされます。
能動的に副業を探していることが明示されているため、詐欺師にとっては「確度の高い見込み客」として優先的にリストアップされてしまいます。
また、「#副業探し中」「#在宅ワーク希望」「#フリーランスになりたい」などのハッシュタグを使った投稿も注意が必要です。
詐欺師はこれらのタグを定期的に検索し、投稿者にDMを送るというルーティンを繰り返しています。そのため、副業に前向きな人ほどその気持ちに付け込まれやすく、「まずは無料で始められる」「初心者でもOK」といった文言に騙されるリスクが高まります。
生活や将来に不安を抱えている人がターゲットにされることも多いです。たとえば、「会社員として働くのが限界」「今の収入では不安」といった投稿も、詐欺師にとっては“見込み度が高い”サインと映ります。
相手はあなたの投稿やプロフィールから心情を読み取り、「この人は不安を抱えている」と判断したうえでDMを送ってきているのです。
怪しい副業DMのテンプレートと典型手口
SNSにおける副業詐欺の多くはマニュアル化されています。使われるDMの文章にはテンプレートのような決まりきったパターンがあり、勧誘の流れも同じようなステップを踏むケースがほとんどです。
この章では、よくあるDMの文面パターンと、実際に行われる勧誘の流れについて解説します。
よくあるDM文面のパターン
SNSで副業勧誘のDMが届くとき、多くの場合は「突然のDM失礼します」などの丁寧な挨拶から始まります。これには、“怪しい感じ”を薄め、相手の警戒心を和らげる狙いがあります。
その後は決まって、「スマホ1つで月20万円」「1日30分の簡単作業でOK」などの、現実離れした誇大表現が続きます。誰でも楽に稼げるという印象を持たせることで、クリックや返信を誘導するのが目的です。
よく見られるのが、「あなたのプロフィールを見て誠実そうだと感じてご連絡しました」といった、個別対応風の言い回しです。実際は大量のユーザーにコピー&ペーストで送られているにもかかわらず、「あなたにだけ送っている感」を演出することで信頼を得ようとしています。
ほかにも、「フォローありがとうございます」「共通の価値観を感じたので」など、あたかも共通点があるかのように装って距離を詰めてくる手口もあります。
こうしたDMは、一見すると丁寧で親切そうに見えますが、その中身は定型的で誰にでも当てはまる曖昧な内容ばかりです。

少しでも不自然さや違和感を感じたら、それは詐欺のサインかもしれません。
勧誘の流れはテンプレ化している
詐欺師によるSNS副業勧誘の流れは、以下のような形でテンプレ化しているのが一般的です。
- SNSでターゲット探し
- DMでアプローチ
- LINEへの誘導
- zoom面談やオンラインセミナーに誘導
- 高額商品の購入を迫る
まずはSNS上でターゲットを探し、「副業に興味ありませんか?」という形でDMを送るのが第一ステップです。この時点では、あくまで簡単な副業紹介というニュアンスで、怪しさを感じさせないように配慮されています。
次に行われるのが、LINEへの誘導です。「詳細はこちらでご案内しています」「一度だけでも話を聞いてみませんか?」などの言葉で、LINEのIDやQRコードを提示してきます。ここで連絡手段を移すことで、SNS上での通報や凍結リスクを回避すると同時に、より密接なやりとりが可能になります。
LINE登録後は、zoom面談やオンラインセミナーへの参加を勧められるケースが一般的です。zoom上では、自称フリーランス講師や成功者が登場し、「みんな稼げている」とアピールしながら、参加者の不安や欲を巧みに刺激してきます。
最終的には、「今だけ特別価格」などと煽られながら、高額な情報商材や副業塾、投資サービスへの申し込みを迫られます。その価格帯は5万円〜数十万円と幅広く、しかも中身が空っぽだったり、実態のない内容だったりすることがほとんどです。
このように、SNSからLINE、zoom、そして決済へと至る一連の流れは、詐欺グループの間で共有され、量産されている営業スクリプトそのものです。

ひとつでもこの流れに当てはまるような動きが見られたら、警戒レベルを最大まで上げましょう。
SNSで副業詐欺が起こる仕組み
SNSはユーザーの属性や興味が可視化されており、詐欺を仕掛けるには非常に都合のよい環境です。加えて、DM送信の自動化やLINEへの誘導など、詐欺の流れはシステム化され、まるでマーケティングのように洗練されています。
この章では、詐欺師がどのようにSNSでターゲットを選定し、どのような導線で信頼を得て高額商品に誘導するのか、その仕組みを解説します。
「検索」→「DM」送信の流れ
SNS上で副業詐欺が展開される第一段階は、検索機能の悪用です。
詐欺師は「副業」「フリーランスになりたい」「時間に縛られない」などのキーワードを検索し、これらに関連する投稿をしているユーザーをターゲットにします。
投稿内容だけでなく、プロフィールの文言やハッシュタグの利用状況もチェックし、該当者に絞って声をかけます。
この作業は手動で行われる場合もありますが、最近では自動化ツールを用いたスパム的アプローチが主流です。ツールを使えば一度に数百人単位でDMを送ることができ、効率的に「反応する人」を見つけることができます。
こうした行為はほとんどがプラットフォームの規約に違反しているものの、アカウントを使い捨てにする前提で行われるため、取り締まりが難しいのが現状です。
詐欺師にとって、DMの送信は釣り針を投げるようなものです。返信があったアカウントにだけ本格的なやりとりを始め、反応がない場合は次へといった戦略を展開します。
検索→DMの流れは、表面的には単なる「ご案内」に見えても、裏ではしっかりと収益化スキームとして設計されています。つまり、詐欺師にとってもこれはビジネスモデルなのです。
LINE誘導後に囲い込み
SNS上でDMに反応すると、次のステップとしてLINEへ誘導されます。
LINEは個人間での連絡が密になり、SNSに比べて閉じた環境でやりとりができるため、詐欺師にとって都合の良い囲い込みの場です。
LINEに移行した後、まず多くのケースでトークグループに追加されます。このグループには複数人の仲間がいるように見えますが、その多くは詐欺グループの一員で、仕掛けられた演出であることがほとんどです。
グループ内では、「昨日◯万円の報酬が出ました!」「初月から黒字です!」といった投稿が頻繁に流され、詐欺であることに気づかせないまま期待感を煽っていきます。
また、個別に“担当者”という立場の人物がつき、1対1でのやりとりが始まります。この担当者は非常に親切でフレンドリーに振る舞い、あなたの状況を丁寧にヒアリングしてくるのが特徴です。そのやりとりを通じて、「この人なら信頼できそう」と思わせるのが目的です。
信頼が構築されたタイミングで、「本気で取り組むなら初期投資が必要です」「最初に知識をつける教材として◯万円の講座があります」といった形で高額な情報商材やオンライン講座への勧誘が始まります。
一度信頼関係を築いたあとだと、「ここで断るのは失礼では?」という心理が働き、つい購入してしまう人も多いのが実態です。

この一連の囲い込みは、セールスとして非常に計算されたプロセスです。だからこそ、遅くともLINEに誘導された時点で詐欺の可能性を疑い、慎重になる必要があります。
怪しい副業DMが届いたときの対処法
SNSを使っていると、副業詐欺のDMは誰にでも届く可能性があります。実際に怪しいDMを受け取った際、慌てて対応を誤ると被害に巻き込まれるリスクが高まります。
しかし、適切な対処法を知っていれば、未然に防ぐことは十分に可能です。
この章では、詐欺の入り口となるDMへの具体的な対処法を3つに分けて解説します。いざというとき、冷静に行動するための備えとしてぜひ覚えておいてください。
基本は「即ブロック・即通報」
返信をしてしまうと、「このアカウントは反応する」と判断され、詐欺グループの内部で優先ターゲットとして扱われる恐れがあります。
少しでもやり取りを始めるとそこからLINE誘導やzoom勧誘へと進んでしまう可能性があるため、まずは反応しないことが重要です。
アクセスするだけで個人情報が収集されたり、外部サービスに登録されたりするケースもあります。特に、「詳細はこちら」や「無料で相談できます」といった言葉で誘導される場合、その先には詐欺的な内容が待っている可能性が高いため注意しましょう。
SNSの通報機能も積極的に使いましょう。DMを送ってきたアカウントを運営側に通報することで、そのアカウントが凍結されたり、警告を受けることがあります。
被害を未然に防ぐためにも、怪しいと感じたら関わらず、すぐ報告するという行動を徹底しましょう。

SNSは返信するだけでリスクが広がります。少しでも違和感があるDMは、確認や返信をする前にシャットアウトすることが最善です。
スクショを保存しておく
怪しいDMが届いた場合、ただブロックや通報をするだけでなく、証拠としてスクリーンショットを保存しておくのも有効な対処法です。
万が一後でトラブルになった際に、どのような文面だったのかを証明する材料になります。特に、詐欺被害に遭ってしまった場合には、警察や消費者センターに相談する際の重要な証拠です。
詐欺の被害を未然に防ぐために、SNS上で他の人に注意喚起する投稿を行う際にも、スクショは役立ちます。たとえば、「こんなDMが届いた」「このアカウントは注意」などと共有することで、同様の被害に遭いそうな人たちに警鐘を鳴らすことができます。
ただし、注意喚起の際にはアカウント名を晒すことが名誉毀損に該当するリスクもあるため、あくまで文面の共有や傾向の解説にとどめるのが安全です。
スクショはクラウドやローカルフォルダに保存し、日時とともに記録しておくと整理もしやすくなります。まだ被害がなくても、こうした記録は将来的に役立つ可能性があります。
「気になる副業名+詐欺」で検索する
怪しい副業DMの内容に対して「もしかして本当かも?」と少しでも気になった場合、その副業名や団体名、誘導先のURLなどを検索してみましょう。
検索窓に「〇〇(副業名)+詐欺」や「〇〇(LINE名) 評判」などと入力すれば、過去に同じ手口で被害を受けた人の体験談や注意喚起の投稿が見つかるケースが多くあります。
副業詐欺の多くは、実態のない情報商材やセミナーなどを使い回して運営されています。そのため、同じ文面や商品名、主張が、すでに過去に問題視されていることも少なくありません。第三者によるレビューや口コミサイトの情報は、詐欺かどうかを見極めるうえで貴重な判断材料となります。
また、Xやnote記事などでも被害報告が挙がっていることがあり、検索によってかなり具体的な情報が得られることもあります。検索結果で「注意」「詐欺」「やばい」といったワードが多く出てくる場合は、関わらないのが賢明です。
一方で、検索結果に一切情報が出てこないような「謎の副業」も、それはそれで警戒しなければなりません。まともなビジネスであれば、何らかの形でWeb上に情報が存在するはずだからです。

何かに申し込んだり返信したりする前に、一度冷静に検索してみましょう。それだけでトラブルを避けられることは多いです。
SNSで届く副業DMは99%詐欺。安易に信用しないこと
SNS上で突然届く副業の勧誘DMは、99%以上が詐欺であると認識することが重要です。甘い言葉や魅力的な条件に惑わされ、つい返信してしまうと、被害に遭うリスクが急激に高まります。
詐欺の手口は年々巧妙化しているものの、基本的な見分け方と対策さえ押さえておけば、騙されずに済む可能性は十分にあります。
最後に、本記事で取り上げた内容を踏まえ、安心して副業を始めるための心構えをまとめます。
うまい話には必ず裏がある
「スマホ一つで簡単に稼げる」「1日数十分の作業で高収入」というフレーズは、副業詐欺における典型的な常套句です。
こうした言葉が並ぶ場合、まず疑いの目を持つべきです。実際に副業で安定的に稼ぐには、スキル習得や経験の積み重ね、そして継続的な努力が不可欠です。
詐欺師はこうした現実を隠し、誰でも楽に儲かると錯覚させることで、多くの人を引き込みます。甘い話の裏には、高額な教材購入やセミナー参加の勧誘、さらには投資詐欺といったトラブルが待ち受けています。
安易に「楽して稼げる」話を信用するのは、自分の将来を危険にさらすことと同じです。
副業を始めるなら“自分で調べて選ぶ”が鉄則
本当に稼げる副業は、SNSのDMのような受け身の情報からは得られません。自分自身でリサーチし、信頼できる情報源から学び、試行錯誤を重ねることが成功への近道です。
ネット上には多くの副業関連の情報がありますが、情報の良し悪しを見極める目を養うことも必要です。
また、副業を続けて成果を出すには、継続力が欠かせません。簡単に儲かる話は存在しないという前提で、地道な努力を惜しまない姿勢が求められます。安全に副業を始めたいなら、まずは公的な相談窓口や、実績のある副業専門の情報サイトを活用しましょう。

SNSの副業DMは、多くの場合「あなたの不安や希望に付け込んだ詐欺」だと心得て、焦らず冷静に対応しましょう。
まとめ
SNSで届く副業勧誘のDMはほぼ詐欺です。詐欺師はSNSの匿名性や検索機能を悪用し、狙いやすいユーザーに定型文で大量にメッセージを送ります。
勧誘はDMからLINE、オンライン面談、そして高額商材の販売へと段階的に進みます。怪しいDMが届いたら、返信せずに即ブロック・通報し、証拠としてスクショを保存しましょう。
甘い話には裏があることを忘れず、自分で情報を調べ、慎重に副業を選ぶことが安全に稼ぐための鉄則です。