「今日の夕飯、何にしよう?」という問いが負担になり、どっと疲れてしまう……。そんな献立地獄に心当たりはありませんか?
わたしたちは仕事や家事、育児などで慌ただしい毎日を送っています。そんななかで時間をうまく使いたいと思っていても、食事のことは誰かが考えないといけません。
この記事では、そんな献立を考え続ける日々から解放されるための、「思考しない献立術」をご紹介します。毎日の食事づくりを、もっとラクにしましょう。

この記事はこんな方におすすめです。
- 仕事や育児で忙しく、毎日の献立を考えるのが負担になっている方
- 時間と心の余裕を生むために家事を効率化したいと考えている方
- 「ちゃんと作らなきゃ」と思い込み、疲れてしまっている方
「毎日の献立決め」は効率化するべきタスク
忙しい毎日の中で、私たちはさまざまなタスクに追われています。そのなかでも「献立を決める」という行為は、一見すると些細に思えるかもしれませんが、実は大きなエネルギーを消費するタスクです。
今日何を作るかを考え、冷蔵庫の中身を確認し、家族の好みや健康、栄養バランス、食費を意識して組み立てる……。これは単なる思いつきではなく、判断と選択の連続です。つまり「決断疲れ」を引き起こす原因になりやすいのです。
ビジネスの現場でも、繰り返し発生する業務は仕組み化して効率を上げるのが基本です。献立づくりも同じように、日々繰り返されるタスクだからこそ、あらかじめルール化しておくことで、時間と精神的なゆとりが生まれます。
毎日の小さなストレスを減らすことが、暮らし全体の快適さにつながります。
献立地獄って何がつらいの?
献立決めは「名もなき家事」のひとつに数えられ、献立を決めることのない家族などからは理解されない負担です。
献立決めがつらいその正体は、目に見えない思考の負担です。
次から次へと考えることが多く、しかも答えは毎日求められます。献立地獄とも呼ばれることがあるこの状態について、具体的にどんな要素がつらさにつながっているのかを見ていきましょう。
常に考えることが脳を消費させる
献立を考えることは、思っている以上に脳のメモリを使います。仕事で集中したあとや育児で疲れたあと、「今晩何作ろう」と考えるのは、かなりの負担です。
冷蔵庫の中を確認し、家族の好みや栄養のバランス、調理時間などを同時に計算しながらメニューを決めるのは、実は高度なタスクです。
一日に何度もその選択と決断を迫られることで、決断疲れを引き起こしてしまうこともあります。
だからこそ、仕組みで「考えなくていい状態」を作ることが、心の余裕につながります。
食費・栄養・家族の好みのバランスが難しい
献立を考えるとき、「安く済ませたいけど、栄養バランスも気になる」「子どもはこれ嫌いだけど、野菜は食べてほしい」など、さまざまなバランスをとる必要があります。
どれかひとつを優先すれば、ほかが崩れるジレンマもあるため、毎日うまくやりくりするのは至難の業です。
また、「昨日は肉だったから今日は魚にしたい」「ごはんが続いたから麺類にしよう」など、直近の献立とのバランスも頭に入れておく必要があります。
このような複雑な条件を同時に満たそうとすると、シンプルに疲れるのです。バランスを考えすぎて、自分の食事がどうでもよくなる……。そんな負のループにも陥りがちです。
食事は毎日だから代替がきかない日常のタスク
掃除や洗濯のように「週末まとめて」とはいかないのが食事の厄介なところです。
一食くらい飛ばすことはできても、基本的には毎日必要なタスクであり、代替がききません。
外食やデリバリーを使うのも手ですが、コスト面や健康面の不安から「毎日は使えない」と感じる人も多いでしょう。
このように「回避できないのに毎日発生する」という性質が、余計に精神的負担を増やしているのです。
この負担を軽くするには、思考そのものを削減する仕組みが必要です。
もう悩まない!1週間使える「思考停止」の献立作成ルール
ここまで見てきたように、献立にまつわる悩みの多くは「毎日考えること」による疲れにあります。
その疲れを根本から減らすためには、考えずに回せるルールを作ることが有効です。
ここでは、思考を最小限にしつつ、満足感のある食生活をキープする具体的な仕組みをご紹介します。
曜日ごとにジャンルを固定する
今日は何作ろう……とゼロから考えるのではなく、曜日で献立のジャンルを固定してしまう方法です。
たとえば「月曜はカレー系」「火曜は丼もの」「水曜は麺類」など、ジャンルだけでも決めておくと、考えるハードルが一気に下がります。
- 月曜:カレー系(カレー、ハヤシライス、シチュー、トマト煮込みなど)
- 火曜:丼もの(親子丼、牛丼、豚丼、そぼろ丼、中華丼、ねぎとろ丼、タコライスなど)
- 水曜:麺類(うどん、焼きそば、パスタなど)
- 木曜:魚系(塩焼き、煮付け、照り焼き、ホイル焼き、ムニエル、フライ、蒲焼きなど)
- 金曜:炒め物 or 冷蔵庫一掃メニュー(肉野菜味噌炒め、すき焼き風炒め、ピリ辛炒め、チャーハン、お好み焼き、オムライスなど)
「決めておいた方が自由がなくなるのでは?」と感じるかもしれませんが、選択肢が絞られることでむしろ自由になります。
我が家の「1軍メニュー」を5〜7個決める
レパートリーを増やさなきゃ…と思いがちですが、むしろ逆です。よく作る&家族のウケがいい「1軍メニュー」を定番化してしまいましょう。
- ハンバーグ
- 鮭の西京焼き
- 豚の生姜焼き
- 麻婆豆腐
- 野菜たっぷりラーメン
- オムライス
- チキンのトマト煮 など
1軍メニューは「家族が喜ぶ」「材料を用意しやすい」「15〜20分で作れる」など、実用性重視で選ぶのがポイントです。
レパートリーが少ないなんて気にしなくてOKです。むしろ「あの味」が安定して出てくる安心感は、家族にとってもうれしいものです。
5〜7品ほどの1軍メニューを持っておけば、「今日はこの中から選ぶだけ」で済みます。

わたしは30日分の1軍メニューでその月の献立をまわしています。月1しか同じメニューがでないので飽きずに食べられますし、献立はもう考える必要がありません。
買い物をルーティン化する
料理を作るだけでなく、買い物にも多くの時間とエネルギーがかかっています。この部分もルーティン化してしまうことで、全体の負担をぐっと減らすことが可能です。
たとえば、以下のような工夫です。
- 毎週決まった曜日にまとめ買いする
- 冷凍・日持ちする野菜を中心に買っておく
- 「使い切ること」を前提にして食材を選ぶ
- ネットスーパーや宅配サービスを併用する→在庫管理がスムーズになる
また、そもそも1軍メニューがあれば、毎回同じ材料を買うだけなので、買う食材を考える負担もありません。
毎週の買い物と調理が流れ作業化すれば、大きく時短でき、生活が格段にラクになります。
「ちゃんと作らなきゃ」の呪縛から解放されるマインドセット
「栄養のあるものを作らなきゃ」「手作りこそ愛情」という思い込みが、知らず知らずのうちに自分を追い詰めてしまっていませんか?日々の食事を整えるうえで大切なのは、自分にとって続けられる形を選ぶことです。ここでは、完璧を目指しすぎないための思考法をご紹介します。
手作り信仰をゆるめる
手作りが素晴らしいのは確かですが、それが「毎日・全部」である必要はありません。
ときにはレトルトや冷凍食品に頼っても、健康も家族・パートナーとの関係も壊れません。
むしろ、無理に頑張ってイライラしながら料理するより、気持ちよく出せるものを使うほうが健全です。
自分で自分に設定している理想の親・パートナー像を、少し緩めてあげましょう。その柔軟さが、家族やパートナーにとっても、自分にも優しさとして返ってきます。
市販の惣菜や冷食は「使いどころ」を知る
毎日すべてを手作りするのは理想的に見えて、実は長続きしない原因にもなりがちです。
市販の惣菜や冷凍食品を完全に避けようとすると、疲れている日や時間がない日に「どうしよう…」と追い詰められてしまうことがあります。
だからこそ重要なのが、「使いどころ」をあらかじめ決めておくという発想です。
- 月末は「冷凍食品デー」と決めておく
- 忙しい月曜日は惣菜を1品だけプラスすると割り切る
- 揚げ物は市販に頼ると決めておく など
このように、どこで手を抜くかを最初から設計しておくことで、判断に迷わず、気持ちの負担も減ります。
冷凍食品や惣菜も、今や味や栄養バランスに優れた商品が多数あります。使い方さえ工夫すれば、手作りに劣らない立派な時短ツールです。
頼ることはズルじゃありません。むしろ戦略的に頼ることで、料理全体の負担を減らし、継続可能な食生活につながります。
完璧を目指すより、うまく仕組みに組み込むことが、日々の食事づくりを無理なく続ける秘訣です。
毎食完璧を目指す必要はない
「主菜・副菜・汁物・ご飯」といった完璧な献立を毎回目指してしまうと、早々に心が折れてしまいます。たとえば、ご飯+納豆+具だくさん味噌汁だけでも、立派な食事です。
毎日完璧でなくても、1週間単位や月単位で見て栄養バランスがとれていれば、それで十分です。
自分や家族が機嫌よく過ごせることのほうが、はるかに価値があります。
まとめ
毎日の献立決めは、ただの小さな家事ではなく、思考力や感情を大きく消耗させるタスクです。だからこそ「考えないで回る仕組み」を作ることが、心と時間に余裕をもたせるために欠かせません。
- 曜日でジャンルを固定
- 1軍メニューを明確に
- 買い物もルーティンで効率化
- 完璧を求めすぎないマインドセット
これらを実践することで、日々の食事作りはもっとラクになります。献立に振り回されない日常を、自分の手で整えていきましょう。